プレス加工メーカー有限会社坂井工業(三条市直江町4・坂井真和代表取締役)は、女性社員で開発チームをつくり、規格外品を使ってスマートフォン用の無電源スピーカー「PODS(ポッズ)」を生み出した。
ステンレスでできた器状の部品の底にする部分に3本の足を付けた。そこにスマートフォンを入れるだけで音が内部で反響し、音を増幅する。底には穴を開けてケーブルを通せるようにし、充電しながら使えるようにした。
重さ180グラム、直径、高さとも約10センチで、すべてのiPhoneに対応し、中に入るスマートフォンなら何でも利用できる。カラーは6色、メーカー希望小売価格は税別3,500円。期間は限定していないが、とりあえず1,000個の販売を目指す。
同社では下請けで部品加工を行っている。器のような形の部品を作るなかでわずかでもへこんだり傷がついたりすると規格外となり、出荷できない。それをスクラップにして廃棄するのではなく、新たな価値を生み出す「アップサイクル」という手法で製品化しようと考えた。
社員10人のうち平均年齢30歳代半ばの女性社員5人で昨年11月に開発チーム「MAMALABO(ママラボ)」を結成。同社が製造する製品のなかからほかの用途に生かせるものはないかと今回の製品を考案した。
グループリーダーの入社4年目、山川佳代さん(30)は「もっと簡単と思っていた。何に使えるんだろう、何か困っていることはないだろうかと、ゼロからのスタートだった」と言う。「アイデアがあっても、いざ形にしようと考えると難しい」。
山川さんは2歳の娘があり、11月には2人目を出産予定。「プレス業は男性のイメージだけど、ママも働きやすい環境、女性が活躍できる場所をママラボでつくっていければ」と構想を膨らませており、次の製品の開発もスタートしている。