県は16日と18日の2回、燕三条地場産業振興センター・リサーチコアで「県央基幹病院整備基本計画(案)に関する住民説明会」を同じ内容で開いており、初回16日は150人が来場し、先進地の魚沼基幹病院の事例や県の取り組みを聞いた。
県央基幹病院の整備に向けて地域住民に理解を求めようと節目のたびに開いている。今回は、整備基本計画案をつくる段階にきたことから計画した。
昨年6月に開院した「新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院の事例紹介」として同病院の生越章整形外科部長が県内の先進事例である同病院の救急・整形外科医療の現状について話し、県福祉保健部基幹病院整備室が「県央基幹病院整備に向けた県の取組」としてこれまでの検討経過、「県央基幹病院整備基本計画(案)」の概要、今後の進め方など、取り組みの現状を説明し、来場者と意見交換した。
事例紹介で生越整形外科部長は、魚沼基幹病院の担っている役割は、3次救急と高度医療が病院の主体とし、3次医療などにつていも解説。「なぜ魚沼基幹病院ができたか」として、魚沼地域は小規模中規模の病院が多く、医師の数はそう多くはない病院が多い。したがって3次医療や高度医療は得意でなく、多くは長岡に搬送されていた。冬場はさらに増える。
もうひとつの理由は、医師不足からの悪循環。病院で医者が少ないと一人ひとりの医師に対する過労のあまりの大きさに退職する人が多い。医師、医療スタッフの集約化で、1プラス1が2ではなく3にも4にもパワーをもつことがある。重症患者を受け入れるためにはマンパワーが必要と話した。
日本の医師と看護師不足は深刻な問題で、新潟県は47都道府県のなかでも最悪に近い。新潟以上に不足しているのは埼玉、茨城、千葉とほとんど東京の隣接県で、現実的には全国で最悪と言える。日本全体が医者が少なく、とくに新潟県は少ないのに、魚沼はもっと少なく、その理由などをわかりやすく説明した。
県央基幹病院整備に向けた県の取り組みでは、県央医療圏の現状と課題、医療再編、医師・看護職員等の確保対策、平成35年度早期の開院を目標とした整備スケジュールなど基本計画案などについて説明した。
質疑では、看護師を集めるにはどうしたらいいのか、三条市上須頃地内という設置場所についての豪雨への不安、燕労災病院と三条総合病院を再編統合し引き継ぐことになる基幹病院での医療スタッフの処遇はよくなるのかなどの質問があり、午後9時ころに終わった。
2回目の「県央基幹病院整備基本計画(案)に関する住民説明会」は18日午後7時から1回目と同じ会場、内容で開く。