三条市桜木町、旧三条市立南小学校校舎をリノベーションして昨年4月にオープンした「三条ものづくり学校」は、22日午前10時からオープン一周年記念感謝祭を開き、入居者はもちろん地域の事業所や人とともに事業とともに商品にならなかったものを販売する「工場蚤の市(こうばのみのいち)」やワークショップを行うので、一度も三条ものづくり学校に来たことのない人にもこの機会に来校を呼びかけている。
午前10時から午後4時まで開く。工場蚤の市は旧体育館の多目的ホールに40ブースが開店。B級品やサンプル品などを販売する。日野浦刃物工房は包丁となたの刃、関山賢作木工所が刃物の柄を用意してコラボレーション。その場で刃と柄を選び、両者を接合、名入れもしてくれるというユニークな試みだ。
山谷産業は包丁、おの、ペグ、ペグハンマーなどを販売し、あわせて包丁の試し切り、ペグで石割り、おのでまき割りの体験も行う。ステンレス製鋳造ホーロー鍋「リロンデル」を開発した新潟精密鋳造は非売品のまな板を販売する。
三条ものづくり学校と同じ株式会社ものづくり学校が運営するいわば先輩の東京・世田谷ものづくり学校のブースも。三菱製紙の紙の積層プレスボードで同校に入居するクリエーターが作ったブックスタンドやケータイスタンドを販売。わくわくするような蚤の市となりそうだ。
ワークショップは多目的ホールや入居している事業所のスペースなどを会場に23種類を行う。オリジナルのリングノート作り、鎚起銅器で作る木の葉のブックマーク、桐たんすの時代金具をアクセサリーやしおりに再生、木のティースプーン作り、活版印刷体験、リボンでカチューシャづくりなどバラエティーに富み、だれもが参加してみたくなるワークショップが見つかるはずだ。
多目的ホール入り口前には、三条ものづくり学校で起業した人がそれ以前に働いていた企業とコラボレーションして接合金物を使った木製のウエルカムゲートを作る。午後1時から3時まで関川一郎さん、西村隆行さん、茂山登志男さん、吉田誠司さんの4人の地元デザイナーによるイベント「ぶっちゃけトーク&ロゴマーク大喜利」も行われる。
エントランスには三条で生まれた軽オープンカー「コペン」のカーゴトレーラーを展示するとともに、2人のアーティストによるインスタレーションを展示する。
インスタレーションは加茂市の書家、下田彩水さん(33)と新潟中央区のインスタレーション作家、小出真吾さん(30)のコラボレーション。三条ものづくり学校が下田さんに書道パフォーマンスなどを依頼したところ、下田さんから空間表現をやりたいという要望を受けて、三条ものづくり学校が小出さんを紹介して実現した。
下田さんが「こころ」と題した詩をつくり、詩にある言葉や詩からイメージした言葉を下田さんが書き、パソコンに取り込んでデータ化。発泡スチロールを素材に切り文字にし、23の言葉をモビールのように天井から下げた。照明を当てて文字の影が白壁に写るようにし、風でモビールが揺れ、影も揺れる。
さらに下田さんは10×1.2メートルの大きな白布に墨で書いた抽象表現の作品を横に渡した。18、19の2日間かけて会場で設営。アーティスティックな空間で来場者を歓迎する。
また、新潟市東区のアーティスト、たなかるりさんは5月初めから三条ものづくり学校で作品づくりを進めており、感謝祭当日はライブペインティングを行って作品「スーハー」を完成させる。
三条ものづくり学校は、起業家やクリエーターを支援するインキュベーション施設。レンタルオフィススペースは満室になり、地域の事業所も巻き込んで入居した起業同志のコラボレーションも生まれている。
三条ものづくり学校の斉藤広幸事務局長は「地域住民、地域のものづくり事業者、入居者がつながり、皆さんのおかげで運営しているので、みんなで一緒にこの場所でしかできないイベントにできたらと思う」と話しており、地元をはじめ首都圏からの来場にも期待している。
三条ものづくり学校だけでは駐車場が足りないので、隣接の新潟県央工業高校のほか、パール金属も臨時駐車場に借り、パール金属からは40分間隔でシャトルバスを運行する。詳しくは三条ものづくり学校(電話:0256-34-6700)へ。