三条傘鉾(かさぼこ)振興会(井村孝嗣会長・4人)は、三条祭りの15日、八幡宮の境内で「三条まつり傘鉾コンクール」を開いている。ことしも家庭日用品などを材料に世相を風刺した傘鉾人形7基がエントリーしたが、約20基が参加した最盛期と比べると3分の1にまで減り、三条ならではの伝統をつなぐため、新たな参加を募っている。
旧三条観光協会などの資料によると、武器の鉾(ほこ)を立てて、その周囲を多くの品々で飾ったのが傘鉾の起源。傘のように見えることから「傘鉾」と呼ばれるようなったとされる。
今の三条の傘鉾は、ざるやほうき、たわしなどの家庭用品や鍋のふたやお玉など、「金物の町」にちなんだ金物類をはじめ、さまざまな日用品を使って時代を風刺した題材の人形を作る。ほかの土地にはない三条ならではのユニークな傘鉾が毎年、製作される。人形は、祭りが終わると、くずして本来の用途にあてるという、物を大切にしたころの心がしのばれる。
ことしのコンクールには、7基が出品。審査委員は、地元有識者ら5人で、これまで委員だった信賀斎さんが1月に亡くなられたことから、今回は地元の三条小学校校長が委員として加わった。審査の結果、得点の高い順に金賞1基、銀賞3基、銅賞3基を決め、昼からの大名行列とともに市内を巡行し、市民にお披露目した。
また、コンクールとは別だが、毎年、三条小学校の3年生児童も傘鉾を制作しており、大名行列の前に練り歩く「子ども御輿」に参加。ことしは同校のシンボルの山バトであたたかいハートを表現した「やまばとちゃん」、強い心で勇気を持つという願いを込めた「三条おに」の2基を披露した。
今年度で閉校する三条小としては最後の参加で、来年の製作は未定だが、統合する裏館小で、より多くの児童参加による継続ができたらと、関係者は願っている。
同コンクールの出品数は、昨年と同じ7基だったが、一昨年より2基の減。以前は町内や商店街、事業所など20以上の団体が参加していたが、参加者の少子化と高齢化、平成16年の7.13水害以後の河川改修による家屋移転などによって参加者はさらに減少した。
これまでに祭り関係の団体などへ、参加の声をかけたこともあるが、新たな出品者はない。同振興会では「伝統ある傘鉾をいつまで続けられるか」と心配する声もある。
井村会長は、過去に出品していた商店街や事業所、町内会をはじめ、スポーツ関係、ものづくりやまちおこしの団体や人材などに来年の参加を呼びかけている。初めての出品者には、経験者が手ほどきや手伝いもできるので、挑戦を待っている。
【平成28年の傘鉾コンクール審査結果】※カッコ内は得点
■金賞
■銀賞
■銅賞