4月にスタートしたばかりの演劇教室「65歳以上の劇団」は、28日午後6時半から活動の場にしている三条市のまちなか交流広場「ステージえんがわ」で旗揚げ公演を行い、83歳まで8人のキャストが熱演を披露する。
三条市のきよ里さんが歌と三線の演奏のあと上演する。演目は「同窓会」。久しぶりの同窓会を前に、ひとり落ち着かないようすで待つ男。しだいに旧友たちが集まり、思い出話に花を咲かせるが、事態は思わぬ方向へ。果たして彼ら彼女らの正体は…。コント風のショートストーリーで笑わせてくれる。入場料は無料でカンパをお願いする。
演出は岡田美香さん(34)。東京出身で結婚して三条市へ移住した。劇団「トマト座」で全国を巡演した元女優。この演劇教室を立ち上げ、指導者を務める。演劇教室は月曜と木曜の週2回、午前9時から「ステージえんがわ」でレッスンしている。
脚本は昨年、オール三条ロケで制作され、岡田さんも出演した映画「ライブハウス レクイエム」の監督、松本卓也さんに依頼した。26日は旗揚げ公演に向けた最後のレッスンを行った。キャスト8人のうち5人が参加した。
演劇教室はその名の通り原則65歳以上が対象で、実際は65歳以上は3人。最高齢は三条市の大井恵美子さん(83)。今の三条東映の前身となる劇場「松竹館」を営む家に生まれた。幼いころから映画にひたり、戦後は近所の人を集めて芝居の演出をしたこともある。
昨年、燕三条青年会議所が制作した映画「ともに担げば」のメーンキャストのひとり、山崎日菜さん(29)は大井さんの孫。「わたしの年になってもやれるんだから、お年寄りの応援歌になればいいなと。いくつになっても挑戦は大事なこと」。足が弱り、歩くのが不自由だが「皆さんの邪魔にならないように。皆さんが助けてくださる」と笑顔だった。
渡辺敏子さん(67)は「すごく悩んだこともあったけど、悩みはみんな一緒だと思った」、阿部友子さん(66)は「もうまな板の鯉だから」。新潟市南区の蜜田美保さん(42)は「車に乗りながらせりふの練習をしているので、気がついた人はびっくりしていると思う」。
大阪出身の織田千津子さん(63)は中学生から社会人まで演劇の経験があり、約40年ぶりに舞台に立つ。「岡田さんが頑張っているので、見習わなければと」。多趣味だが、「演劇もライフワークにしたい」と言う。このほかに大橋健一さん(42)、長谷川和さん(41)、近藤雅哉さん(22)が出演する。
岡田さんは“団員”について「人集めに苦労してうまくいかないのではと心配したけど、予想以上に多くの人が参加してくれ、思ったけど、最初からみんな当たり前のように大きな声を出してくれて順調にスタートできた」と言う。
「まったく演劇の経験がない人も、初めてのことに手をあげてくれたのがすごいこと。舞台は肩の力を抜いて楽しんで見てほしいし、この取り組みを見てほしい」と来場を待っている。