NPO法人ソーシャルファームさんじょうに所属して三条市下田地域で活動する地域おこし協力隊は26日、下田地域の棚田で田植えを行った。
ソーシャルファームさんじょうは、大自然の宝庫である下田地域をスポーツや農業、アートなどに関連したイベントや企画を通して活性化しようと取り組んでいる。下田地域への移住を推進目的に農業体験を行うためにも、まずは地域おこし協力隊が農業を指導できるノウハウを身につけようと田植えに挑戦した。
約20年も耕作放棄地になっていた南五百川地内の棚田を10アールだけ借り、昔ながらの手植えで行った。現在、地元で栽培されているイネは「コシヒカリBL」ではなく、それ以前の旧コシヒカリを食べた地域おこし協力隊を食べた隊員の要望でいわば昭和の旧コシヒカリを植えることにし、地元の農業坂井良雄さん(65)が指導した。
そこに棚田があったとは思えないような草が生い茂った棚田で、除草から田打ち、代かきから地域おこし協力隊が準備した。田植えはソーシャルファームさんじょうの地域おこし協力隊7人のうち5人と下田地域に滞在しながら観光をテーマにした地域学習を行う「下田塾」の神奈川県横浜市からの専門学校卒業生2人も参加した。
水を張った棚田に坂井さんは「枠」、地元ではほかに「定規」や「ころ」とも呼ばれる筒状になった六角形の木枠を転がして田んぼにます目を付け、交点のところに手で苗を差し入れた。梅雨を思わせるような蒸し暑さだったが、目の前に奇勝八木ヶ鼻を拝む絶景のなかで笑顔で作業に励んだ。
作業を主体となって行っているのは、5月から地域おこし協力隊になったばかりの和歌山県出身で新潟市から転入の下沢千亜紀さん(26)、静岡県出身で静岡県から転入の鈴木麗さん(35)。下沢さんは田植えは初めてだが、知り合いの農作業での経験はある。「畑作業が好きで、これから畑で野菜を植えていくのも楽しみ」。海外を転々とした鈴木さんは、ヨーロッパで伐採を手伝ったり、牧場を手伝ったこともあり「都会っ子じゃないので楽しんでます」と話していた。