気象庁が全国6つの自治体で行う「気象予報士等を活用した地方公共団体における気象情報活用支援モデル事業」により、三条市に気象予報士の上橋(じょうばし)宏さん(72)が1日、着任した。出水期の4カ月間の任期で、職員へ防災気象情報の解説やマニュアル作成などを行う。
同モデル事業は、気象庁が地方公共団体に気象予報士を派遣し、防災気象情報の効果的な活用などを自治体職員にアドバイスし、地方公共団体の防災対応力の向上を図ろうというもの。
新潟、茨城、静岡、広島、長崎、鹿児島の計6県の自治体で実施されており、本県では、中規模の市で防災担当者が数人いるという条件や過去の災害などが考慮され、三条市が選ばれたもので、上橋さんは舟崎淳新潟地方気象台長とともに市長室を訪れ、国定勇人市長に着任のあいさつをした。
上橋さんは、北海道浦河町出身。1964年に旭川地方気象台に配属。北海道内をはじめ、群馬、石川、気象庁の本庁などに勤務。船上での海洋観測や海上気象観測の経験もある。稚内地方気象台長や前橋地方気象台長を歴任して04年に退職。今回は民間会社の所属での派遣となった。
新潟は北海道へのフェリーを利用するために通過したくらいで、今回の着任で初めて三条市を訪れた。派遣期間は9月30日まで。行政課防災対策室に席を置き、職員へ気象状況や防災気象情報の使い方の解説、三条市で留意すべき気象情報や着眼点の整理、マニュアルの作成を主な業務とする。
上橋さんは、以前から気象予報士の資格を自治体で活用できないかと気象予報士仲間と話していたと言い、「気象情報などを、できるだけ詳しく、わかりやすく説明していきたい」と抱負を話した。
舟崎台長も、気象台発表の情報を自治体に利用してもらっているが、自治体職員には気象学知識をもつ専門家がいないことが多く、防災対策を講じる自治体の職員が気象学知識をもつことでより有効に情報を活用してもらえると話した。
国定市長は、この10数年で2度の大きな水害を経験した三条市は、「宿命として災害に強いまちづくりをしていかなくてはいけないと心がけている」と話し、「出水期のタイミングでありがたいこと」と期待した。