弥彦村は、人事院の平成28年度初任行政研修の一環で国家公務員の地方自治体実地体験の研修員受け入れを初めて行い、今年度、国家公務員に採用された厚生労働省、農林水産省、国土交通省の3人が13日から17日までの5日間、各課で業務体験などを行った。
初任行政研修は、今年度で20年目。主として総合職試験に合格し、新規採用された職員が対象。合宿を中心に行政研修を行い、介護等実地体験、地方自治体実地体験など、計5週間の日程で実施され、今年度は625人が受講。国民全体の奉仕者としての自覚と国民全体の視点から施策を行うための基礎的素養・見識を養うとともに、研修員相互の理解と信頼を深め、府省間の連携強化の基礎づくりに貢献しているという。
この研修を初めて受け入れた弥彦村に派遣されたのは、農林水産省の野山美咲さん(25)=大阪府出身=、厚生労働省の増田直友さん(22)=千葉県出身=、国土交通省の永島典明さん(24)=神奈川県出身=の3人。
研修は、初日は小林豊彦村長と青木勉副村長との面談に始まり、議会を見学。翌日からは建設企業課、住民課、福祉保健課、観光商工課、農業振興課、競輪の業務体験、やひこの里見学(入浴介助。意見交換)など、連日びっしりのスケジュールをこなした。
最終日17日は研修成果報告と意見交換を行い、職員と本会議終了後に小林豊彦村長も同席。3人は5日間の研修で感じたことやそれぞれの省庁の職員としての観点から弥彦村の課題や提案を発表した。
野山さんは、弥彦村特産のエダマメ「弥彦むすめ」を食べて、「東京では塩の味しかしないので、素材の味がするのに驚いた」、「東京や大阪では味わえないおいしさ」と話した。生産者の維持などの課題を知り、農水省職員の立場からGI認証(地理的表示)の制度を紹介。さらに、「私たち世代がもっとここ来てくれればと思った」と言い、地域活性化プランコンテストの開催を勧めた。
永島さんは、旅行者と国交省職員の2つの視点で発表。「ここ(弥彦村)を拠点にというより、燕三条拠点になっている」と、自動車がないと生活に困る交通の便の悪さを指摘し、本省に帰っても考えたいと話した。また、弥彦に泊まってもらうために、夜に弥彦に残ってもらうイベントがあるといいとして、ホタルが観光資源になるのではと提案した。
増田さんは、労働と福祉の分野について話し、雇用の創出や共働き世帯の支援を提案。村では保育園の待機児童問題がなく、東京の子どもを連れてきたいようだとも。国家公務員として国が指針を出すと、どれだけ市町村が動かなくてはならないのかといった影響の大きさも話した。
意見交換では、村職員からも次々と質問の手が上がった。「神社の前を石畳にしたらどう思うか」と意見を求めると、研修生から「石畳にするだけではだめで、地区全体を和のテイストにするなど村全体のコンセプトを決めて取り組むことが大切では」といった回答もあった。
この研修成果報告と意見交換で、弥彦村での日程は終了。弥彦村職員のひとりは、3人の派遣受け入れについて、「とても刺激になった」と話していた。