田上町の「あじさいまつり」に会期をあわせて19日から7月20日まで湯田上温泉周辺を会場に「湯のまち巡り〜軒先アートギャラリー〜」が昨年に続いて開かれている。メーン展示の7月2、3日は、旧温泉街を舞台にアーティストやコレクターの作品をいっせいに展示し、まち歩きを楽しんでもらう。
展示会場は22カ所で、出展者は約50個人・団体にも及ぶ。19日から展示を始めたのはうち8個人・団体にとどまり、営業している旅館を中心に地元アーティストの作品などを展示している。
メーン展示の7月2、3日に集中して展示、公開する。旧温泉街の廃旅館や主のいなくなった寺の会場もあり、数十年前から時間が止まったようなタイムスリップ感を味わうことができる。廃墟マニアにもごちそうだ。
拠点となるのは田上町コミュニティセンター。7月2、3日は作品展示をはじめ手作りのワークショップや飲食ブースの開設も行われて一大イベント会場になる。旧共同浴場ゆごや会場と円福院の薬師堂も飲食ブースが開設され、旧共同浴場ゆごや会場には温泉の足湯や子ども服と輸入雑貨の販売、薬師堂でこども縁日も行われる。
学生も協力する。新潟経営大学はワークショップやウォークラリー、浴衣の着付け教室、AKARIBAコラボの夜の湯めぐり散策などを実施。新潟薬科大学は田上町コミュニティセンターで薬膳カレーを販売、新潟中央短大は旅館「若竹」で作品展を開く。さらに田上中学校美術部2年生は田上町コミュニティセンターでタケを使った風車を作るワークショップを行う。
昨年、人気だったのが華蔵院(けぞういん)を会場にした茶会。15年ほど前から空き寺になっていた尼寺で、ことしも7月2、3日のいずれも午前10時から午後3時まで開かれ、美しいコケが広がる石段と茶室の庭を眺めながら、湯田上温泉旅館協同組合女将会のおかみが提供する抹茶と菓子を500円で味わえる。
55年ぶりに復活する円福院の薬師如来法要と百万遍念仏も注目だ。円福院と住民の間では長い間あつれきがあり、この法要も1961年(昭和36)を最後に途絶えていた。このほど和解し、湯のまち巡りのタイミングで復活させることになった。1日夕方から加持祈祷、2日はお札販売、3日の午前11時から薬師如来法要と百万遍念仏が行われる。
毎年、護摩堂山で行われる「あじさいまつり」を盛り上げるとともに、忘れられた旧温泉街を観光資源としても再びスポットライトを当てようと昨年初めて「湯のまちめぐり」を行い、大きな反響を呼んだ。
2014年9月に湯田上温泉で行われたまちあるき「ブラニイガタ@湯田上」にかかわったNPO法人まちづくり学校理事、田上町議の自営業池井豊さん(53)=田上町羽生田=の思いつきから始まった。あじさいまつりの目玉イベントが巨大なそうめん流しが保健所の指導で中止せざるを得なくなったという事情もあった。
池井さんは「昨年になかった路地や空き地にも展示を拡大した。新たに公開する場所も多く、よりディープな旧温泉街を楽しんでもらいたい」と意気込んでいる。開幕前日の18日は関係者10人余りで会場となる寺や神社の境内で草を刈ったり枯れ葉を集めたり。大勢の来場を待っている。
スタンプラリーは22カ所のうち15カ所以上集めると粗品がもらえる。7月3日は午前10時から午後5時まで田上町役場の臨時駐車場、田上町コミュニティセンター、田上駅、湯っ多里館前を回るシャトルバスを運行する。詳しくは主催の田上町観光協会(電話:0256-57-6225)へ。