三条市は26日、ことしも水害対応総合防災訓練を行った。明け方の強い雨で一時は土砂災害の警戒体制もとるなど災害時本番の緊張感ももちながら、約2,500人が参加して訓練した。
2004年の新潟・福島豪雨災害で、五十嵐川の堤防が決壊した7・13水害の翌年から毎年、同水害を教訓に策定した三条市水害対応マニュアルに基づいて水害対応総合防災訓練を行っている。ことしで12回目になり、11年7月に下田地域を中心に被害を受けた7.29水害から5年目の訓練ともなった。
明け方からの雨で同マニュアルの「土砂災害に係る非常配備基準」の基準に達したときもあり、一時的ながら情報収集などを行う段階の第1次配備体制をとりながらの訓練となった。
消防を含む市職員、消防団、自治会・自主防災組織、民生委員、市民、県、三条署、ライフライン関係機関、介護サービス事業所など幅広い団体から約2,500人が参加。これまでと同様に災害の発生時刻や場所、規模などを事前には知らせず、次々と発表される災害情報によって、それぞれが水害対応マニュアルに沿った災害応援活動などを行った。
今回は、避難所開設のなかで、初めてマイナンバーカードを活用した訓練を行なった。これまで用紙に記入してもらった情報を職員が1件ずつパソコンに入力して管理する入退所管理を、マイナンバーカードをリーダーにかざしてもらうだけで、ほぼ完了した。
また、実際に第1次配備の基準に達する気象となり、気象庁の「気象予報士等を活用した地方公共団体における気象情報活用支援モデル事業」で今月、三条市に着任した気象予報士の上橋宏さんが、この日の気象情報の解説なども行った。
雨降りのなかでの訓練スタートで、避難準備情報や避難勧告の発令とともに、サイレンが響き、手元では携帯電話のエリアメールの着信音が鳴り、訓練とはわかっていても怖さを感じさせた。
市役所に設置された災害対策本部では、道路の冠水や河川の越水、土砂崩れなど被害状況、避難の状況、消防団召集など、次々と担当者が報告し、本部長の国定勇人市長が確認や指示を行った。
三条防災ステーション内の信濃川左岸で、消防職団員や防災活動協力事業所による応急救護所設置及び救助・水防訓練を行った。ボートによる救助訓練では、茶色に濁った水面をエンジン付きのゴムボートなど2艇で対岸の五十嵐川河口付近に渡り、要救助者を救出した。
河川敷の水防訓練は、消防団とともに防災活動協力事業所の下村工業株式会社=三条市西大崎2=と株式会社井関新潟製造所=三条市西大崎3=の2社が参加し、土のう作りを体験した。
国定市長は、同ステーションを訪れ、消防職団員に訓示。7.29水害から5年たち、記憶も風化し始めているところで、あらためて気を引き締め直さなければいけない状況に陥っているのではと言い、水害対応マニュアルの見直しを徹底的にしたことなども話した。
さらに、「皆さま方の活動そのものが三条市民の命を守るその誇り高き精神をどうか大切にされながら、これから先続く出水期、緊張感を胸に臨んでいただきたい」、「これから先も引き続きよろしくお願いします」と願った。