にいがた県央マイスター塾の第103回鎚起銅器体験コース「ぐい呑みづくり」が25、26の2日間、燕三条地場産業振興センターで行われ、1日10人ずつ、20人が参加して燕市伝統の鎚起銅器の技術で自分だけのオリジナルぐい呑みを完成させた。
新潟県三条地域振興局は、新潟県県央地域のものづくりに関わる高度熟練技能者を「にいがた県央マイスター」に認定している。そのマイスターを講師にそれぞれの分野の技を学ぶさまざまな体験塾を「にいがた県央マイスター塾」として開いている。
鎚起銅器体験は年に1、2回のペースで開いており、今回は今年度1回目。ことしで創業200周年となった燕市の鎚起銅器を受け継ぐ玉川堂の細野五郎さん(65)と匠長を名乗る玉川達士さん(46)の2人が講師で、玉川堂の社員も指導をサポートした。
体験は直径10センチほどの円形の銅板を槌でたたき、固くなったら火で焼いて柔らかくする焼きなましを繰り返して、ぐい呑みの形を作っていく。外側に槌目を施し、最後に内側に錫を塗ったら完成だ。
簡単そうに見えるが、見るとやるとでは大違い。思ったような形になってくれず、そのたびにマイスターに助け船を出してもらい、修正してもらった。5時間の体験時間も納得のいく出来栄えにするには足りないくらいだ。
26日の参加者で唯一、県外から参加したのは神奈川県横浜市に住む松永敏行さん(48)。Facebookでフォローしている職人を通じて鎚起銅器の体験イベントが行われていることを知り、ネットで検索してにいがた県央マイスター塾の鎚起銅器体験にたどり着いた。
仕事は整体師。手仕事が好きで「こつこつやるのは苦にならない」。鎚起銅器は想像した以上に手ごわく、1日で2つくらい作れるのではと思っていたが「マイスター制度で認定されるくらい奥深いものであることが良くわかった。鎚起銅器作品の見方が変わると思う」と匠の技を体感していた。