端材を使ってものづくりのアイデアを出し合って形にするアイデアソン「TSUBAME HACK!」が25日、燕市民交流センターで開かれ、燕市内のものづくり企業の12人をはじめ、市外を含む学生16人、クリエーターなど一般26人の合わせて54人が参加して、端材から新しい価値を創造した。
アイデアソンは「アイデア」、ハッカソンは「ハック」とそれぞれ「マラソン」を掛けあわせた造語。いずれも米国のIT企業から広がったもので、アイデアソンは多様なメンバーが対話しながらアイデアを生み出し、ハッカソンはシステムやアプリケーションを開発。アイデアソンはハッカソンの事前学習として行われることもある。
燕市ではこうした新しいイベントを普及し、ものづくり企業の刺激になればと4月にアイデアソンやハッカソンとは何かを学ぶプレイベント的なセミナーを行い、予想を大きく上回る135人もの参加者を集めて盛り上がった。
今回はその本番。参加者はそれぞれが作りたいもののアイデアを考えてプレゼンテーションし、参加者がおもしろいと思うアイデアに投票。実行する上位11のアイデアを決め、参加したいアイデアを選んでそれぞれチームをつくり、端材を使って工作し、できる限りアイデアを形に。最後に完成したものをプレゼンテーションした。
用意した端材は、燕市ではおなじみの型抜きしたあとの残りの金属板や樹脂、そしてワイヤー、針金、フェルト、金属ネット、段ボールなどさまざま。それを加工するための金づち、ドライバー、はさみ、接着剤などを用意した。
チームのテーマは、いやしの人のぬくもり、知育パズル、1日のクールダウンになる灯ろうなど。みんなで意見を出し合い、イメージを少しでも理想の形に近づけようと頭をひねって端材を駆使し、分業したり。とはいえやっていることは子どもの工作と一緒で、まるで子どものように無邪気にはしゃぎながら製作した。
三条市から参加した長谷川恵子さん(31)は、義手っぽく見えるアクセサリーを作ることをテーマにした。長谷川さんは前回のセミナーにも参加してこのアイデアをプレゼンテーションし、断トツの注目を集めた。
長谷川さんはアニメ映画『風の谷のナウシカ』のナウシカの敵が装着していた義手のアーマー(甲冑)に魅せられた。「強そうでいて、はかなさもある」と長谷川さん。自身は金属の端材で義手に見えるものを作った。長谷川さんのチームには覆面作家、眼帯フェチも参加。マスクや手袋を使って金属でアレンジしものも作った。
長谷川さんは「ひとりで作るより、いろんな人のアイデアがあって楽しい。みんなの見えないフェチシズムも明らかになり、ひとりでは思いもつかないものができたし、工具を使うのも楽しかった」と大いに刺激を受けていた。今年度は11月にも第2弾の「TSUBAME HACK!」を行う計画だ。