燕市内の研磨業者を会員とする親ぼく会「燕磨(えんま)の会」(山崎正明会長・会員18人)は3日、燕市農業総合管理センターで、ことしも16、17の2日間、燕市燕地区で開かれる飛燕夏まつりでふるまう豚汁の調理に使われる大鍋の研磨作業を行った。
大鍋は約20年前に製造されたステンレス製。直径1.8メートルもある化け物に巨大だ。最大で1万人分もの豚汁を調理できるというが、飛燕夏まつりでは2千人分を調理している。
使っている間に酸化し、サビが出てくるため、燕磨の会で研磨してメンテナンスしている。今回は6年ぶり。ただ、会員の都合で全体を磨くのは飛燕夏まつり後になり、この日は若手から技術を見てもらい、技術を伝えることをメーンに内側を上から30センチの幅で研磨。会員11人に加えて燕市磨き屋一番館で研磨を学ぶ研修生3人も参加した。
日常の研磨作業は、固定したグラインダーなどと呼ばれる研磨盤に磨く物を押し当てて行うが、まさか大鍋を動かして研磨することはできない。大鍋は逆に手に持った回転する研磨剤を塗布した円盤形の「バフ」を研磨する物に押してるフレキシブル研磨機で磨かなければならないが、研磨職人でも経験のある人は限られる。
会員のなかでいちばんのフレキシブル研磨機の達人は、研磨業一筋60年の鏡歳男さん(77)。石川島播磨重工業の遠心分離機の外側を磨いたこともあり、フレキシブル研磨の専門家としてそればかり手掛けた時期もあったと言う。
「スイッチを入れた瞬間、体が負ける」と鏡さん。高速で回転するバフが一瞬でも体にふれたら大きなけがにつながりかねず、一瞬たりとも目が離せない。最初にベテランが実演してみせてから、若手や研修生にも試してもらった。
研磨作業は巨大な大鍋の中に入っての作業。磨き屋一番館を卒業してことし4月から会長の山崎さんが経営する山崎研磨工業で働いている山本新さん(21)=長岡市=もフレキシブル 研磨に挑戦。「初めてさわったけど全然、思った以上に道具が言うことを聞かなかった。安定して研磨をかけるのは難しい」と日常の研磨作業との違いの大きさに苦戦しながらも、目を輝かせて作業に集中していた。