真宗大谷派三条教区教化委員会は9日、三条別院本堂で第22回全戦争犠牲者追弔法会を開いた。法要のあと愛知県の大東仁氏を講師に「戦争は罪悪であるー反戦僧りょ 竹中彰元の叛骨ー」の講題で講話を聞き、三条教区の僧りょを含め約100人が来場して真宗大谷派が戦争に加担した歴史を振り返ることで不戦の誓いを新たにした。
講師の大東氏は1965年愛知県生まれで、真宗大谷派圓光寺住職、真宗大谷派名古屋教区教化センター研究員、大阪経済法科大学アジア研究所客員研究員。第二次大戦中も反戦を訴え続けた真宗大谷派の僧りょ、竹中彰元(1867-1945)の研究家でもあり、2008年に著書『戦争は罪悪である―反戦僧りょ・竹中彰元の叛骨』(風媒社)を出版している。
大東氏は1995年に採択された「真宗大谷派不戦決議」が植民地政策と侵略行為にふれていないことを指摘した。しかし「幸か不幸か浄土真宗は日本のためだけの宗教ではない」、決議文を見たら「これが朝鮮人、韓国人の目にとまったら、わしらの植民地化は無視するのかと誤解を与えかねない」と批判する一方で「本山すら認めなかったことを三条教区、三条別院さんは認めてくださる」、「同意見というか、これは事実」と評価した。
大東氏は竹中彰元について「日本を裏切った人」、「犯罪者」、「彼は大谷派僧りょのくせに戦争に反対した」。仏教には「不殺生」の戒律があり、戦争ができない。そのために「大谷派が引っ張り出してきたのが“一殺多生”」で、竹中彰元も当初は「一殺多生の教えを正しいものと信じていた僧りょであった」。
さらに「現在の真宗大谷派は、一殺多生が間違っていたとは一言も言っていない。これからも使うかもしれない」、「温存している」と批判。「お釈迦さまの味方します?大谷派の味方します?」と問うなど、歯に衣着せぬ表現で厳しく話した。このあとも竹中彰元が真宗大谷派の戦争反対を訴え続けた生き方について話した。
この全戦争犠牲者追弔法会は戦後50年をきっかけに毎年行われているもので、メモを取りながら聞く人も多かった。