一般の通行が不可能な「八十里越」の工事区間を含む新潟市から福島県いわき市を結ぶ国道289号の全線約300kmを、福島県立只見高校の生徒が自転車で踏破する「R289フルコース踏破 by WALK & CYCLE 2016」が7月30、31の2日間で行われ、初日に三条入りした生徒を国定勇人市長が出迎え、踏破達成と早期開通を願った。
国道289号の早期全線開通と自然の豊庫である八十里越周辺の環境保全、有効活用の推進を発信しようと2010年から毎年、夏休みに行い、6回目。同事業では、将来を担う只見町の宝、只見高校生が中心となり、只見町と地域住民が一緒に実施することは大きな意義があり、疲弊が進む地方を元気づけることも目的のひとつとしている。
同校の選抜生徒や保護者、教諭、町民などで構成する実行委員会(渡部仁一代表)が実施主体となった事業で、高校生が総延長約325kmの行程を約10kmずつ交代しながら数台の自転車で踏破した。
出発はいわき市からと新潟市からを毎年交互に実施し、ことしは新潟市から。R289の起点は、新潟市中央区本町通りだが、同事業は新潟県庁前からスタートした。
今回は、只見高校の1、2年生から、野球部11、バレー部6、卓球部1、テニス部1の男女19人が参加。昨年も参加した2年生は8人で、1年生は11人。前日29日に五泉市に宿泊し、30日午前8時に新潟県庁前をスタート。午前11時過ぎ、ピンク色のポロシャツを着て、「R289踏破」と書いた緑色のたすきをかけた生徒が自転車4台に乗って、三条市消防本部に到着した。
おそろいのポロシャツを着た国定市長が歓迎のあいさつを行い、289号線が全線開通すると三条市と只見町は1時間かからないくらいの距離で結ばれ、「この三条市が皆さんにとって買物をする場所になり、仕事をする場所になり、遊びをする場所になるかもしれない」とし、「いかに重要な道路かということをきょう、皆さんの身体で感じ取ってほしい」、「体調管理に十分、気をつけて最後まで走り抜いていただきたい」と激励した。
三条市からモモと三条市の水「千年悠水」、七号トンネルの貫通石を使ったストラップをプレゼントし、只見町から「南郷トマト」とお菓子が贈られた。
リーダーを務める野球の五十嵐蓮さん(17)は、昨年も事業に参加して自転車に乗れず、ことしはリベンジだった。三条で最高気温33.2度の猛暑のなか、同本部までの10kmを自転車に走り、「余裕です」と日焼けした顔に白い歯の笑顔をみせた。新潟は祖母のいる妙高市を時々、訪れることがあり、全線開通すれば三条も近くなることから「早く開通してほしい」と話していた。
一行は同本部で昼食後、消防車両を見学し、午後0時半に再び福島を目指して出発した。この日は、工事中の不通区間の三条側ゲートまで行き、そこから自転車をトラックに積んで、生徒はマイクロバスなどの車両で只見側ゲートまで移動し、只見町内の明和振興センターがこの日のゴール。いったん自宅に戻り、翌31日は午前6時出発で、行程の3分の2の約200キロを踏破し、ゴールのいわき市を目指した。