国内で初めての住民投票で巻原発の反対派が勝利してから4日でちょうど20年。反対運動にかかわった人たちの思いを後世に伝え、これからの巻地域を考えてもらおうと、8月は地元でシンポジウムなどでが行われ、その皮切りで7月31日、新潟市岩室観光施設「いわむろや」で当時を写真や資料で振り返る展示が始まった。
「巻原発住民投票から20年〜明日の巻地域を考える〜」と題したプロジェクトで、31日は午前10時から反対運動にかかわった人たちなど約20人が出席して開会式を行った。福井旧庄屋佐藤家の平岡一郎理事長はあいさつで、反対運動の中心になった人たちも高齢になり、「20年の節目になるが、あと10年、20年たつと、わたしたちも自信がない。若い皆さんにも気持ちを伝えたい」と話した。
女性を中心とした反対派の団体「青い海と緑の会」の代表だったアマチュアフォークシンガーでもある横山作栄さん(66)は当時、同会で作詞作曲した「住民投票音頭」をギターの弾き語りで演奏。最後の一節は「私の町には山がある 私の町には海がある 住民投票生きましょう みんな揃って行きましょう 八月四日に行きましょう」で結ぶ。
展示は約120点の写真をはじめ新聞の切り抜き、推進派と反対派が配布したびら、反対派が署名した赤い旗、関連書籍を展示する。写真は建設予定地だった角海浜の過疎化が進むようすから、角海浜での原発建設計画が報道され、用地買収、反対派の運動、推進派と反対派の衝突、巻町民の決起、反対派の町長誕生、住民投票の実施、そして反対派の勝利と、歩んできた歴史を時系列に沿ってわかりやすく展示している。
開場と同時に巻原発設置反対会議の事務局長だった中村正紀さんが展示作品の説明を行った。話を聞く人も当時を知る年配の人が多く、中村さんが話す生々しい当時の状況に聞き入っていた。
展示は8月21日まで行われている。シンポジウムは7日と14日にいずれも午後2時から福井旧庄屋佐藤家(新潟市西蒲区福井2908)テーマや出演者が異なり、テーマは7日が「巻原発住民投票・あの日、あの時」、14日が「明日の巻地域を考える」。また、20日午後7時から同所で横山作栄さんによるライブ「たっつぁん『ふる里』を歌う」が開かれる。問い合わせは福井旧庄屋佐藤家の斉藤さん(電話:090-2551-8514)へ。