日本商工連盟燕地区(田野隆夫代表世話人)は18日、燕三条ワシントンホテルで任期満了に伴う新潟県知事選の立候補予定者、長岡市長の森民夫氏(67)の政策発表会を開いた。会員約50人が出席し、開会のあいさつでは次々と森氏の支持を訴え、まるで総決起大会のような雰囲気だった。
日本商工連盟燕地区はすでに現職の泉田裕彦氏(53)から推薦願を受けて推薦を決めている。森氏についても推薦する予定だが、その前に森氏の考えを聞こうと政策発表会を開いた。
冒頭のあいさつを除いて非公開で行われた。配布した資料には「このままの新潟か。これからの新潟か。」の見出しがあり、「県民、市町村、近隣県そして国との『協力』と『連携』を大切にすること」の語句を強調し、「政策を語るだけでなく実行する力のある知事とは」として5つの知事の在り方が記されていた。
政策発表会後、森氏は報道関係者の質問に答えた。「市町村と連携して近隣県と友好関係をもって国の力を使っていくような、強調や連携をすることが大事という話をした」とし、政策はあるが「現場感覚をつかみながら自分の考えだけでなく、皆さんの意見や質問を聞きながら育てていく」と述べた。
県央基幹病院の建設については、「8年かかったのは大きな問題だと思っている。とにかく早急に進めるべきと思う。やはり8年の遅れを取り戻すことが大事」で、「わたしが知事ならとにかく全速力でやりたい」との考えを示した。
知事選での争点は、泉田氏が政策を発表していないので「まだ言える段階ではない」。柏崎刈羽原子力発電所の運転再開については「県民の安全を確保するのがいちばん大事」で「知事がどいういう政策を出してこられるか注視する必要がある」とした。
田野代表世話人は開会のあいさつで、森氏の出馬表明に「よく決断してくださった。本当に心から歓迎している」。泉田氏の推薦は、県内商工会議所の専務理事会で対抗馬が出ても全員に推薦状を出そうと打ち合わせて、県内商工会議所がそろって推薦状を出したといきさつを話した。
「このままでは新潟県は沖縄に次いで貧乏な県になる」と国の県の関係の悪さを指摘。加茂市の小池清彦市長は「越後の生んだ金正日」で、そのおかげで県央基幹病院の完成が「15年くらい遅れる」。「前の市長なら今ごろ県央基幹病院はとっくにできていた」と小池市長を批判し、さらに「森さんが勝ってくだされなければ県庁まで金正日の弟分の金正恩が牛耳るのではと非常に危惧をしている」と泉田氏にも矛先を向けた。
最後に「燕も一生懸命やらせていただくので、できるだけ早いうちに選挙のできる体制の室内用のポスターでも何でも仰せつけていただければ全力で応援させていただく」と締めくくった。
長岡商工会議所会頭でもある長岡経済人連盟の丸山智会長は、中学校を卒業して岩塚製菓の前身に入社し、45歳から60歳まで社長を務めた間に年商を85億円から170億円にして次の社長に返し、社長就任のあいさつで社員に3年後に必ず上場すると宣言し、実現したことを話した。
さらに丸山会長は「企業というものは社長によって変わる」、「だめな会社をよくするのにいちばん手っ取り早いのは社長が変わること」で、「県政を変えたいということであれば頭を変えるしかない」、森市長が知事になれば「一気に県政が変わる」とした。
「ぜひ森市長から新潟県政のトップになっていただいて、今までの新潟県から大きく転換ささせていただきたいとし、締めくくりは「ぜひ皆さまからいっそうのご支援をいただき、ぜひひとつ森市長から県政のかじ取りに送っていただけますことを心から皆さんにお願い申し上げる」。
桜井甚一県議は、116号バイパス建設に関連して県と国のコミュニケーションがないことの批判から始めた。県央基幹病院の位置は知事が駅前にこだわり、事業費の概算もたてずに場所だけ決め、「災害になったときの拠点病院というのはしゃれにもならないと言った。雨が降ったら水に浮いた病院でどうするんだ」。
高台にするとか貯水池を作るとかの問題ではなく、内水対策を行えば「余計な時間と金がかかり、1日も早くという住民の願いがここまで引っ張られて、またさらに延びる。これはトップがしっかりした方針を打ち出さないから」と批判した。
日本海横断航路事業のフェリー購入契約トラブルでも知事の対応、変節も指摘。「県庁のなかの空気、新潟県の空気を変えてもらうには、新しい人から(知事に)なってもらうしかないと意を強くしている。ようやく森さんから勇気をふるって手を挙げていただいたというふうに大変、感激もしているところ」とし、「来るその節には、皆様方らから格段のご理解とご支援をお願い申し上げる」と述べた。
3人とも直接、間接に森氏の支持、支援を求めた。森氏は会場を出る出席者一人ひとりと握手して見送った。