株式会社諏訪田製作所(小林知行社長・三条市高安寺)は創業90周年記念事業の一環で21、22、23日の3日間、小学生を対象に「SUWADA SUMMER SCHOOL」を開き、子どもたちがデザインから完成まで、ものづくりの作業を丸1日かけて体験し、世界にひとつのペーパーナイフなどを完成させた。
「夏だ!宿題だ!それはすわだに相談だ!」をサブタイトルに、小学5、6年生を対象に1日定員6人で、午前10時から午後4時までかけて行った。ペーパーナイフやアクセサリースタンドなどから製作する題材を1つ選び、同社の職人の指導を受けながらデザイン、形作り、加工作業、仕上げ作業までの一連のものづくりの工程を同社の機械設備などで体験した。
最終日23日は、3人がペーパーナイフ、3人がアクセサリースタンド作りに挑戦した。子ども1人から2人に職人1人がつくほぼマンツーマンの指導。白い紙に作りたいデザインを描くところから始め、できるところ、できないところなどを職人のアドバイスを受けて設計図を作った。
ペーパーナイフは、ステンレスの四角い板から、アクセサリースタンドもステンレスのまっすぐな棒といった材料を熱したり、曲げたり、削ったりしながら形を作った。
研磨機につかまり、ぺーパーナイフをぴかぴかにしていた三条市の小学5年生外山真白さん(11)は、「けがをしないように気をつけてやっています」、「1日やっていたら慣れてきました」と、機械に体を寄せてナイフを磨く小さな後姿は、職人と区別がつかないほど形になっていた。
アクセサリースタンドを作った三条市の田村佳聖君(11)は、デザインが思いつかなくて難しかった、炉に入れて熱した棒を曲げる工程は、3年生の時に鍛冶道場の和釘づくりで体験していたので怖くなかったと話した。
また、同社の職人について「意外にかっこいい」と言い、工場全体が振動するような400トンの力で真っ赤に熱した鉄を叩く鍛造の作業を淡々と行う姿を見て、「毎日やっていると怖くないのかな」、「ドンとやるところ、逃げないでしているところがかっこいい」。桁違いの迫力の中で仕事をする姿にひかれていた。
同スクールは、1926年(大正15)の創業から90周年を迎えた記念事業の第2弾。参加した子どもたちには、10年後に開く100周年イベントの招待状となる記念のメダルをプレゼントした。同社では10年後、成人し、もしかしたら三条を離れている子どもたちが、また三条に目を向けてもらうきっかけになればうれしいと期待を込めた。