泉田裕彦知事が30日、県知事選の不出馬を発表したのを受けて、県内の市長にも驚きが広がった。
この日は午後1時から新潟市で定例市長会総会が開かれていた。冒頭、知事選出馬を表明している森民夫氏が前日29日に長岡市長を退職したのに伴い、県市長会会長も退任することになったため、退任のあいさつを行った。
森氏は、市長にはそれぞれ立場があって知事選で市長会として意見をまとめるのは難しく、無理に市長会としての推薦は求めないなどと話して退席した。
議案を審議し、最後に知事選の話になり、森氏のあいさつを受けて知事選については自主的な対応にしようとまとまりかけたところで、泉田知事の知事選撤退の知らせが入った。
鈴木力燕市長は突然の知らせに「びっくりし戸惑っている」、「頭の中の整理ができない状況」と驚いた。「こういう形で選挙戦がなくなるのは珍しい。しっかりした政策論争のなかで知事が決まって行くべき」と言いつつ、自身は2期連続で無投票当選なので「2回も無投票の人間が言うことではないが」と苦笑いした。
野党共闘などで新たな候補者が現れることも念頭にある。市長会を終わって市役所へ戻る移動中、泉田知事から期待に応えられず申し訳ないといった内容の電話があったと言う。
この日、鈴木市長は定例記者会見を行い、記者から知事選でどちらの候補者を支持するかとの質問に、政策が発表されてから判断し、その結果、両方とも支持するかもしれないし、両方とも支持しないこともあると、あらゆる可能性を否定しなかった。
しかし原発の再稼働含め「県民の生命、財産を守るということを最優先にするかどうかを注目している」とし、どちらかといえば原発再稼働に慎重な姿勢を示す泉田知事に考えが近いと見る人が多かった。一方で地元の業界は森氏支持の声が広がっていた。
ほかにもさまざまな環境を考え合わせると一方を支持するのは難しく、鈴木市長は「悩ましかった」と話した。