30日に文書で知事選からの撤退を発表した泉田裕彦知事は、31日午後2時から行った定例記者会見でも撤退の理由は地元紙の報道にあり、「わたしが(知事選に)出ると争点がずれるという状況まできている」、「未来を問う選挙にするには引かざるを得ない」と述べた。
文書で泉田知事は、新潟-ロシア間の航路運航事業をめぐる問題で県紙の新潟日報を名指しし、「憶測記事や事実に反する報道」で県庁の業務に支障が出ており、「県の説明は読者に伝えることはせず、一方当事者の主張に沿った報道のみがなされている状況」で「このような環境の中では、十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しい」と撤回の理由を記した。
会見であらためて本当の理由を問われた泉田知事は「本当の理由はちゃんとした声を県民に届けることができない」として新潟日報の記事をあげ、「直接、申し入れをやっているが対応していただけない。説明しろと紙面で言われたので回答すると載せてもらえない。これで県民の皆さんに訴えを届けるのは難しい」と文書と同様の理由を話した。
泉田知事の知事選撤退に対して新潟日報が掲載した編集局長の見解には「事実に反する記事の訂正を求めると圧力と言われても少し理解できない」、圧力というなら両者が「紙面上で議論すればいい」とこれまでの考えを繰り返し、「毎日40万部発行される新聞と目の前の聴衆数十人を全県を回る訴えかけ、どこまでどう届くのかということについてはやはり差があるかなと言うのは正直なところ」。新潟日報の記者と激しくやり取りする場面もあった。
「わたしが(知事選に)出ると日本海横断航路問題が前面に出て、わたしが引くとそうではなく、新潟の未来をどすうるか、原発とどう向き合うのか、原子力防災をどうするのかという純粋な議論ができるということなので、引いた方が思いを遂げられるということなのでは」と、思いを実現するための撤退であるとし、「新潟の未来が語れる候補で選挙戦をやってほしい」と期待した。