町家づくりの和菓子店「つるがや」(三条市本町4)の店舗兼主屋が三条市内21件目の国登録有形文化財に登録され、三条市は13日、登録証などを伝達した。
午後2時に三条市生涯学習課の金子成郎課長と調査を担当した三条市文化財保護審議会委員を務める長岡造形大学の平山育男教授が訪れ、金子課長から所有者で七代目の柄沢幸一さん(60)に登録証と登録プレートを手渡したあと、柄沢さんの妻紀子さん(54)と平山教授の3人で紅白のテープを引いて店頭に設置した国登録有形文化財標柱の除幕も行った。
中心市街地の大通りに面した和菓子店建物。1924年(大正13)の建築で、木造2階建瓦ぶき、建築面積81平方メートル。「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として8月1日に国登録有権文化財に登録された。正面外観のせがい造の入母屋屋根や建物内部のお吹き抜けのチャノマなどに地域の特色が良く表れている。
柄沢さんは、祖父母が建てた「数奇な運命にかかわった建物」と言う。戦時中の1945年(昭和20)に市から平屋にするよう命令があり、店舗やチャノマ部分など通りに近い部分を除き、建物の3分の1以上を平屋にした。建物すべてを平屋にしなければならないかと思っていたところ終戦を迎えて難を逃れた。おかげで今回、登録された部分が残った。柄沢さんは「これからも長く次の代には伝えていきたい」と話した。
平山教授は建物の特徴などを解説。チャノマの吹き抜けの天井は高さ7メートルあり、そこから土間のある東側には、朝日を入れようと4段の障子の建具がある。新しい形を取り入れながら古いものを合わせた建築だが、「豪壮な部分が外からわからず奥ゆかしい」と評した。
また、柄沢さんによると、店舗兼主屋の向かって左隣りの建物は倉庫などに利用しているが、元々は店舗兼主屋の場所にあり、それを移動して今の店舗兼主屋を建てたもので、店舗兼主屋よりさらに古く明治時代の建築という。吹き抜けのチャノマは冬は寒くてしようがないが、客の頭の上で足音がどたばたするのはいかがなものかということもあったようだと話していた。