ことしで4年目となる6日から9日までの「燕三条 工場の祭典」がさまざまな広がりを見せるなか、ことしは工場と音楽が融合。ロックバンド「チリヌルヲワカ」に在籍経験のあるプロギタリスト坂本夏樹さん(31)を迎えたライブ形式の工場の祭典の公式レセプション「奏でる工場」が開かれる。
金子新田工業団地内の株式会社テーエムの工場を会場に、8日午後6時からの「夜勤編」と9日午前11時からの「日勤編」の2回公演。5曲の演奏を予定し、ワンドリンク付きで参加費は500円。
きっかけは昨年の工場の祭典にさかのぼる。建築金具製造の株式会社ヤマトキ製作所とライブ会場となる金属表面処理のテーエムが連携して、金属製のギターピックを作るワークショップを行った。ヤマトキ製作所で金属の板をピックの形に型抜き、刻印したあと、テーエムへ移動して黒染めの表面処理を体験。ものづくりはもちろんだが、ひとつの製品を作るのに三条市内の複数の工場がかかわっているとう流れも体験してもらった。
翌年はその金属製ピックを販売しようと話していたところ、ピック体験に参加した人を通じて坂本さんの手に渡った。坂本さんは金属製ピックを気に入ってくれ、東京でのライブにヤマトキ製作所とテーエム、ニシムラデザイン、それに金子新田工業団地の金型製造の有限会社樋口工作所を招いてくれ、坂本さんと意気投合。同時に金属製ピックを作る有志で「Den」を立ち上げた。
坂本さんがピックを監修してくれることになった。坂本さんが三条市内のピックを製造する工場へ何度か足を運ぶなかで、坂本さんからライブをやろうという話に。具体的に話を進めるうちに、会場はいっそ工場にしよう、坂本さんとピックを製造する地元企業の人たちとが共演しようとなった。
6月28日、9月12日、10月1日とテーエムでリハーサルを行った。坂本さんは今回のためにすべて新曲を書き下ろした。共演するのはニシムラデザイン、くわ製造の株式会社近藤製作所、チタンアクセサリー専門店のレジエの代表者や後継者。基本的には坂本演奏にあわせてドラム缶をたたく。
1回目のリハーサルで坂本さんはアコースティックギターを使ったが、今回のライブのために、フロントピックアップとリアピックアップを別々に出力して2つのアンプを同時に鳴らせるようカスタマイズしたエレキギターを特注。フロントピックアップは1オクターブ下の音程が出るようにし、金属製ギターピックでかき鳴らす。
2回目のリハーサルからはこのエレキギターに変更。アコースティックな1回目のリハーサルとはサウンドの一変し、エレキギター1本とは思えないまさに“メタル”で重厚なサウンドが広がった。
3回のリハーサルで演奏のクオリティーも見違えるほど向上した。演奏以外でもみんなで「Den」のロゴをデザインしたヘルメットをかぶって演奏することにし、工場感を演出。手持ちのグラインダーで火花を放つ見せる演出も考案した。
ヤマトキ製作所専務の小林秀徳さん(38)は、「坂本さんにピックを気に入ってもらえたと聞いたとは、いやもうラッキーっていうか、みんなでうぉー!っとなった」と当時の興奮を持ち続ける。
「次につなげていきたい。ほかにもピックを気に入ってくれているというアーチストもあり、工場ならではのライブをプロデュースしていけたら楽しい。来年以降も定期的にライブができれば」と、工場がひとつのライブスペースとして確立することも願っている。
肝心のピックは「メタル・ピック」の名称で、トライアングル型の模様が浮き上がる積層材で作ったものと、ティアドロップ型の黒染めしたステンレス製と厚みのあるチタン製の計3種類。工場の祭典にあわせて参加各社で販売するが、価格はまだ決まっていないものの千円を超える価格帯になる。
また、ライブチケットも各企業で扱っており、「奏でる工場」のイベントページや「Den」のFacebookページで関連情報を発信している。会場の株式会社テーエムの住所は「三条市金子新田967」。