三条市は7日開かれた市議会建設常任委員協議会で、南魚沼市でライフスタイル提案型の宿「里山十帖」を運営する株式会社自遊人(岩佐十良代表取締役)を誘致し、市が温泉掘削などの支援を行って2019年度をめどに開業の考えを明らかにした。
誘致予定地は、三条市棚鱗地内の国営開発畑近く。市は市道整備、ふるさと融資による資金支援、温泉掘削への財政支援を行う。約1万7,000平方メートルの土地を三条市が取得して造成し、必要な面積を誘致企業に販売する。
協議会の議題は「温泉宿泊施設誘致について」。長谷川正実経済部長があいさつで、総合計画では豊かな自然を生かした産業の創出や観光産業の創出に取り組むこととしており、「下田地域に新たな温泉宿泊施設を遊離することにより、地域経済の活性化や雇用の創出などに大きな効果が期待できるところであり、今後、温泉調査や仮設道路の解説などを含めて進めてまいりたいと考えている」と述べ、渡辺一美商工課長が内容を説明した。
誘致の趣旨は、下田地域の観光資源である自然環境を最大限に活用しながら交流人口の増加を図り、地域経済の活性化を図る。
自遊人はライフスタイル提案型雑誌「自遊人」を発行する。2012年に南魚沼市大沢山温泉の老舗旅館のフルリノベーションに着手し、14年に宿泊施設「里山十帖」としてオープン、運営。四季折々の自然を五感を駆使して感じることができる宿泊施設で、グッドデザイン賞やものづくりデザイン賞を受賞して国内外から高い評価を得ている。
質疑では、「財政支援の総額はいくらになるのか」、「会社の規模にしては、多額の支援になるのでは」など、見込んでいる支援の総額を示してほしいと複数の市議が求めた。「交渉事項もあるので具体的な数字は今後、積み上げてから」と具体的には明らかにせず、温泉掘削については「いい湯らてい」で約1億円だったとし、延長約800メートルの市道整備は数千万円から1億円規模とした。
誘致先企業を自遊人に決めた経過については、自遊人の岩佐社長が今後10施設、年次的に新しい施設を計画していることを知り、「それならぜひ三条市にと、われわれからコンタクトをとった」とする市に、仲介者があるのかや三条市が民間企業を誘致する際の基準は何か。税金からの支援をしないで誘致ができないのかといった質問があった。
さらに、誘致されればインパクトはあると思うが工事費も高額になる、経済効果はとのくらい考えているか、市民に経済効果を示していかないと理解を得られないと指摘もあった。答弁では、具体的に示すのは難しいとしたが、雇用や産業、観光の創出などが期待できる。有形無形の効果が期待できると考えているとした。
また、日帰り温泉施設「いい湯らてい」への影響や、近くにある民間の旅館「嵐渓荘」に理解を得ているのかとの質問もあり、いい湯らていはバッティングせず、共存共栄できると考えている、「嵐渓荘」は社長の理解を得ていると答えた。
市議からは、市道では冬場の除雪も市の負担になり、市内の道路を直してくれと言っても却下されるなかで、市道の認定はいかがなものかなど、市が行うという支援に対して疑問をもつ声が多くあった。市では、19年度を目途にした開業を考えており、今年度に調査、翌17年に掘削、設計、18年に建設の予定としている。