6日から9日までの「燕三条工場の祭典」で参加事業所は工夫を凝らしてさまざまな取り組みを行った。
●内山農園
農業に取り組む「耕場」として参加の三条市岩淵、内山農園は8日午後のオフィシャルツアー「農具を使って農場体験」の訪問先に組み込まれた。このツアーでは、はさみメーカーの小林製鋏(せいきょう)、くわメーカーの近藤製作所に続いて同農園を訪れ、くわを使ってうねを作ったり、はさみを使ってコマツナを収穫したりした。
工作機械の大きな音が響いたり、油のにおいがしたりの工場の合間に訪問する耕場は、工場見学のはし休め的なリフレッシュの場としても有効なようで、ツアー参加者の話し声しかしない田んぼの中のビニールハウスで、畑を覆う緑色の柔らかな葉のコマツナをはさみで切り取り、そのまま食べながら収穫作業を楽しんだ。
●JAにいがた南蒲
米どころ新潟の三条市や加茂市が管内のJAにいがた南蒲は、三条市茅原地内の南低温倉庫と併設の玄米食味品質区分集荷施設「ライスターミナル」を開放。コシヒカリなど新米を積み上げ、低温保管する倉庫の見学、コメを1トンの製品袋に詰めるオペレーター体験などを行った。
夫婦で訪れた燕市の熊木俊耶さん(27)は、「こんなの見たことなかったから全部おもしろかった」、とくに冷蔵庫の中のようなコンピュータ制御された低温倉庫内に、「農協というとハイテクのイメージはなかったけれど」と最新の設備に驚いていた。
●山村製作所
理美容鋏・利器材の製造メーカー、山村製作所=三条市金子新田=では、鋼材販売から製品化までの全工程を一貫生産している工場内を案内。来場者は、熱間鍛造の炉から真っ赤になった板材が出てくるときの迫力や理美容鋏のできあがっていくさまざまな工程を体感した。
同社の鍛冶ギャラリーには日本刀も展示されており、三条信用金庫の案内で、城南信用金庫=東京都品川区=の業務本部長はじめ7人が山村登会長の説明を聞いた。同金庫の市川純一地域発展支援部上席調査役は、ものづくりで知られる東京都大田区から来たと言い、この日は同社をはじめ、時田製作所やマルナオなど5つの工場を回って「技術力が高く、勉強させていただいている」と話していた。
●佐久間食品
最終日9日、佐久間食品=三条市東本成寺=の最後の来場者は、東京都の建築士、竹内吉彦さん(29)と作家のウチダリナさん(26)の2人。佐久間欣一社長が案内し、豆腐や油揚げの作り方をはじめ健康や食育についても話した。
竹内さんは、株式会社青木淳建築計画事務所=港区南青山6=の建築士で、4月にオープンした十日町市の市民活動の拠点施設「分じろう」と「十じろう」の同事務所十日町分室の設計士として十日町市で暮らしたときに、工場の祭典を知り、2回目の工場の祭典の訪問。ウチダさんは、初めて燕三条を訪れた。
三条鍛冶道場、相場紙器製作所、山谷製作所などレンタサイクルで三条市内を回り、工場が多く、金属系など世界的に知られるものがあることも知った。「おもしろい企画、ここに来るきっかけになった」と、工場の祭典を楽しんでいた。