弥彦駅前に立つ旧やひこ観光ホテルの解体工事の安全祈願祭が25日、現地で行われた。
旧やひこ観光ホテルは1967年ころの建設で、地上7階の鉄筋コンクリート造。99年に会社が倒産してから放置され、不審者の侵入で窓ガラスが割られたり、落書きがされたりと荒れ放題で、心霊スポットといううわさまで広がった。
弥彦村は観光が産業の大きなウエートを占めるのに、弥彦観光の玄関口となる弥彦駅前の駅舎を出ると眼前に廃墟と化したホテルが現れ、観光に大きなマイナスとなっていた。
村民の多くが早期の取り壊しを願いながらも債権者が多く、解体の費用を負担する人がいるわけもない。昨年2月に村長に就任した小林豊彦村長が新しい村政の象徴的な事業としてさっそく解体に向けて取り組んだ。
公費で解体費用の負担を決断して昨年、土地と建物を競売で400万円で取得。解体工事の事業費は1億1340万円で、うち4割の4536万円を国の社会資本整備総合交付金を充てた。残り6804万円は村の持ち出しで、うち9割の6172万円を起債で調達することにした。
解体工事の工期は6日から来年3月30日まで。工事中はホテル前の駐車場のうち村が所有する区域は工事作業用に使うため駐車できなくなる。また、ホテルの弥彦公園側の村道は工事のため通行止めになる。11月は弥彦神社で県内外から見物客を集める弥彦菊まつりが弥彦神社で開かれるため、なるべく観光客の迷惑にならないよう内部工事を中心に行い、12月から工事が本格化する。
安全祈願祭には村や議会、工事関係者ら30人近くが参列。小林村長はあいさつで当初、2億円と言われた解体費用はまったく調達のあてがなかったが、着工まできたことに対し、国の理解、支援に感謝。「とりあえず公園にするが、これを核にして新しい弥彦の観光発展のために拠点として今後、いろいろなことを考えて発展させていただきたいと約束してきた」と話した。