燕市は10月23日、吉田産業会館で健康づくりマイストーリー講座「最後のダイエット」を開き、予防医学研究者で医学博士の石川善樹氏を講師に健康や長生きに人のつながり果たす役割の大きさ、研究者以外では発表するのは初めてというダイエットの本質について話し、来場した約300人が聴き入った。
石川氏は1981年広島県生まれで、東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生 大学院修士課程を経て、自治医科大学で博士号を取得。 講演や雑誌、テレビへの出演も多い。NHK「NEWS WEB」 第3期ネットナビゲーター。著書には『疲れない脳をつくる 生活習慣』、『最後のダイエット』などがある。
まず、確立されていない最新の健康に関する情報に価値はないと始めた。医学は早死にしないためから、健康で長生きするために変わってきた。1990年代に100歳を超えて元気だった姉妹“きんさんぎんさん”が国民的に人気になったころから、100歳を超えても元気でいられるんだと思うようになり、実際に100歳以上が大きく増えた。長寿の家系と言われるのも、身近に長寿の人がいて自分も同じような年齢まで生きられると思うことで結果的に長寿になると解説した。
寿命を左右するさまざまな要因の統計では、たばこよりも孤独の方が健康に悪いことが明らかになっている。「人の力はものすごい力になる」、「老後の不安を解消させてくれるのはお金じゃない。 人の力」。いろんな健康法があるなか、「一冊だけベーシックな健康の本があった」と著書『友だちの数で寿命はきまる 人との「つながり」が最高の健康法』を紹介して笑わせた。
やせるには食事制限に尽きる、運動してもほとんど変わらないと言い、「やせる努力と今の体重をキープする努力は違う」が、残念ながらダイエット本はあっても、ダイエットした体重をキープする本はなかった。やせたら体重をキープするのに食事を元に戻してもいいが、身体活動を増やす必要がある。「身体活動の習慣ができるまでは絶対に体重を落としてはいけない」。
今までのダイエットは、やせたいし、食べたいし、動きたくないしという欲求を無視していた。そして問題なのが脂と糖。脂と糖はとればとるほどもっとほしくなる。そこから生まれたダイエットの本質は「脂と糖にまみれた味覚をうまみに変えていくこと」。
舌は10日で細胞が入れ替わる。1年に1回くらいは舌を洗濯した方がいい。洗濯は、食後にだしを口に含んで30秒ほどくちゅくちゅやっても、飲み込んでもいい。これを1日3回、1週間続けると味覚ががらっと変わり、元に戻る。すると今までのものが食べられなくなる。味覚を変えるダイエットだ。
もうちょっと簡単なのは、食べる順番を変えること。野菜から食べ始めてタンパク質、炭水化物で、最後に締めを必ず汁物、うまみで終える、「ダイエットはうかつには絶対しないでください。元の体重にリバウンドする。どうしてもやりたいなら舌の洗濯をするってことから始めてください。あとは最後、汁物で締めるという、それを数カ月続けてもらうと、はっと気が付くと何もしないのに2、3キロやせてるのに気付く」。
石川氏は数分おきぐらいのひんぱんな間隔で、自身が話したことについて来場者から隣りの人と意見交換してもらった。講演を聴くだけでなく、自分事として考え、言葉にすることで記憶が深く残ったようだ。また、誰もがうらやむような華々しい経歴だが、決して上からの教えるという目線ではなく、来場者と同じような立ち位置でわかりやすく話し、退場するときも来場者の握手に気軽にこたえていた。