「さんじょう∞ふくしま『結の会』」(佐竹紀代表)が企画して10月と11月に計3回、「ふくしまのいま…知ってもらおう!つながろう!ツアー」と題して東日本大震災で被害を受けた南相馬市を中心に視察する日帰りバスツアーが行われ、三条市民など合わせて約120人が参加し、被災地の現状を肌で感じた。
この会は、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故で三条市に避難している人の有志でつくる組織。震災から5年7カ月がたち、記憶が風化していくなか、避難先の人々への感謝の気持ちも込めて「福島の今を少しでも知ってもらいたい」と企画した。
当初は10月22日と11月3日の2回、企画したが申し込みが定員を超える参加申し込みがあり、11月19日も追加して計3回行い、30歳代から80歳代の計約120人が参加した。
行程は、津波被害の大きかった南相馬市小高区の海岸線や「鹿島の奇跡の一本松」などの視察、南相馬市消防・防災センターや同市原町区と鹿島区で復旧した防波堤や火力発電所を車窓から視察、震災後にオープンした道の駅「セデッテかしま」など、同会の佐竹代表や南相馬市観光協会が、これまでの状況も解説しながら案内した。
昼食は、震災直後に三条市に避難していた豊田英子さんが店主の南相馬市の人気ラーメン店「双葉食堂」。3日間とも、ツアーを迎えるために臨時休業として、中華そばや煮物などを提供してくれ同店のもてなしも参加者を喜ばせたという。
参加者のアンケートでは、「復興とはほど遠い除染土のかたまりを目のあたりにして絶句しました。家があっても帰ることのできないつらさは想像もつきません」、「避難者の方から多くのことをお聞きしていましたが、雑草で埋もれてしまった皆さんのふるさとを実際に目にしたとき、本当に悲しみを感じることができました」。
あらためて津波の恐ろしさ、原発の厳しい情報を知ることができたという人は「まだまだ復興まで、先の見えない状況を知り、胸の痛む思いでした。三条に住む私たちでできることは何なのか、問われた気がしました」、「国の対策に大きな希望があることを祈らずにはいられません。元気でがんばってください。いっぱい応援いたします」など、現地に行かなければわからない体験をして、さまざまな思いを寄せていた。
また、これまでも、現地で作業をするために避難先からボランティアを運ぶバス運行はあるが、避難した人たちが行政などの協力も得ながら、避難先の住民の視察を目的にしたバスツアーの開催は、ほとんど例がないようで各方面から注目を集めている。