燕市は国道116号吉田バイパスの早期事業化に向けて民間から地元の声を国、県へ届けようと11月2日に発足した国道116号吉田バイパス整備促進協議会(会長・美内信孝吉田商工会会長)は12月11日、燕市吉田産業会館で総決起大会を開き、大会宣言を行って気勢を上げた。燕市吉田地区から420人もの市民が参加して熱気あふれる大会となり、地元の期待感の大きさを象徴した。
協議会は燕市内の商工団体、農業、建設、金融、運輸、医療、まちづくりの団体や国道116号沿線自治会長など32人を委員に構成。自治体が中心だった国道116号吉田バイパスの早期事業化の取り組みを地元の民間レベルからも声を上げ、促進を図ろうと発足したもので、その初めての事業として総決起大会を開いた。
鈴木力燕市長は、国道116号吉田バイパス実現に米山隆一知事が県議会で前向きな答弁をしたことから「県もこの問題に真剣に前を向いて取り組もうという兆しが出てきている」とし、大河津分水の抜本的な改修が始まり、「この残土を利用すれば事業費を安くできる、バイパスも安くできる、このタイミングを逃してはならないと思う」と早期事業化に期待した。
協議会会長の美内信孝吉田商工会会長は、国道116号は「市民の安全と暮らしに大きくかかわる最も重要な社会資本」であり、農工商の産業面以外にも先の中越地震、中越沖地震で応援人員や生活物資の輸送の運搬路として大きな功績を発揮したとした。
柏崎刈羽原子力発電所の隣接市町村の住民や燕市民は万が一の原発事故のときの避難路とし頼りにしており、国道116号の交通容量の拡大は絶対に必要と指摘。「燕市庁舎、燕警察署は緊急車両の利便性を考慮し、吉田バイパスルート通過帯の新設交差点部を見据えた位置を設定したものであり、命の道路としての役割を十分担う道路でもある」とし、「総決起大会を機にご参集の皆さまと心をひとつにして目標達成に向け、まい進されることを心から念願する」と述べた。
来賓祝辞で細田健一衆院議員は、米山知事と新潟県選出の自民党国会議員団と話した席でも米山知事から「前向きに取り組みたい」と聞き、「そのためには自民党、公明党の与党の先生のお力添えが必要と言われた」「吉田バイパス実現には右も左もない」、漆原良夫衆院議員は「皆さまのきょうの熱い気持ちを、あした東京に帰って国交臣に本当に燕の皆さんがが待ち望んでいるんだということを確実に伝える」。
鷲尾英一郎衆院議員は、国会で必要な国道整備事業に予算配分することを国交相や道路局長の言質をとり、「あとは地元の熱意でしっかりと完成までもっていく。こういう段階にようやく入ってこれた」、塚田一郎参院議員は昨年、ようやく県の方向性が定まり、知事が代わって新しい県政がスタートするので、「ここは新潟県にもしっかり思いを定めていただいて、その方向に沿ってわれわれが国に超党派であらためてこの事業の重要性をお願いしていく」とそれぞれ述べた。
柏崎市・二田地区コミュニティ振興協議会の庭山征彦会長、元吉田町みちづくり・まちづくり検討委員の近藤安男さんがそれぞれ意見発表を行ったあと、協議会副会長の田野隆夫燕商工会議所会頭が大会宣言を読み上げ、 同じく副会長の田中公一分水商工会会長の音頭で団結コールを行い、「がんばろー!」とこぶしを突き上げて気勢を上げた。
このあと講演に移り、長岡技術科学大学大学院の佐野可寸志教授が「国道116号吉田バイパスの整備効果」をテーマに講演を聴いた。
総決起大会には自治会長に出席を案内したが、出席した420人のうち自治会長は3分の1ていどで、国道116号バイパスが通る吉田地区を中心に市民の関心は高い。通過帯が示された2007年の説明会にも350人が来場している。大会宣言は次の通り。
燕市を縦断する国道116号は、地場産業の物流を担う基幹道路に加え災害時における救援人員及び支援物資の輸送運搬路としても重要な道路であります。
しかしながら、吉田地区内では、接続する他の道路との配置構造上慢性的な交通渋滞を引き起こし、地域経済に与える影響は計り知れないことや、周辺住民の避難路としても本路線の重要性が認識されているにもかかわらず、その機能が果たせないことなどが懸念されています。
これらを背景に、平成19年6月には、国道116号吉田バイパスのルート通過帯が示され、その後各種手続きが滑られていましたが、現在、地方分権改革の議論などの影響で、前述の事務手続きが中断している状況です。
そこで地元燕市から、国道116号吉田バイパスの早期整備を促進し、もって地域の産業、経済、文化及び観光の活性化に寄与することと共に、有事の際の緊急用道路とすることを目的とし、次の運動を展開することを宣言します。