燕市と燕商工会議所、吉田と分水の商工会が主催する毎年恒例の燕市新春賀詞交換会が、4日午後2時から燕市吉田産業会館で開かれた。過去最多だった昨年の199人を上回る213人の燕市内の経営者らが参加して新しい年をスタートした。
燕市内の政治家や経済人、経済団体や行政が一堂に会する恒例行事。鈴木力市長と燕商工会議所・田野隆夫会頭の主催団体あいさつに続き、来賓の地元選出の衆院議員、県議が祝辞を述べたあと、燕製のステンレス製タンブラーで乾杯し、新年のあいさつを交わした。あいさつ、祝辞の概要は次の通り。
鈴木力燕市長
昨年は合併10周年の節目の年で3地区ばらばらの水道料金を統一できた。ふるさと納税は今年度は立ち上がりの動きが悪かったが、年末までに5億3400万円とほぼ前年度のレベルに戻した。燕市で合宿したモンゴルのパラリンピックのアーチェリーチームは、リオ大会の男女混合の種目で4位とメダルには届かなかったが、3年後の東京大会でメダルが期待できる実力のあるチームとわかった。
燕市は東京五輪に向けて選手村などで使われる燕製品を売り込んでいるが、リオ大会ですでに使われた。日本政府が設置したハイパフォーマンスセンターの調理器具や洋食器に燕製品が使われたもので、大会中は契約の関係で公表が禁じられたが、「きょうまでとっておいた」。
ことしの燕市は、施設整備面では教育関係で東部学校給食センター建設、吉田北小学校の大規模改修、粟生津小学校の大規模改修の設計が始まる。燕工業高校跡地には100床規模の特別養護老人ホームの建設、緑町の団地でミニ特養とグループホームの建設が始まる。浄水場建設は29年度は用地取得、基本設計の段階に入る。
産業振興では、産業界と大学と連携してインターンシップ受け入れの先進地に名乗りをあげ、産業史料館のリノベーションを行い、産業観光のいっそうの充実に取り組む。組織改正した産業と農業の部門の連携は、2年目でその成果の具体的な展開を実施する。
子育て支援では、社会動態は県内でも比較的、頑張っているが自然減少にはかなり危機感がある。昨年、妊産婦医療費の無料化を始めたが、加えて産後ケアの事業や不妊治療のさらなる拡充ができないか検討を始めている。
国道116号バイパスと吉田病院については、「知事の交代で大きく環境が変わりつつある。止まっていたものが大きく前に動き出す兆しがある」、「そのチャンスを逃してはならない」、「今まで以上に県、国に要請活動を行ってまいりたい」。
情報発信では「燕市ダーツの旅」に加えて新たな動画配信を企画中。「平成29年が契機の回復、上昇とともに皆さま方、そして燕市がこれまで取り組んできたことが大きく実を結ぶ年になるよう祈念する」。
田野隆夫燕商工会議所会頭
ドナルド・トランプ氏の米国大統領就任により「大変革が起きる年だと思っている」。就任すれば「選挙中みたいなでたらめなことはできないはず」だが、実業界の人なので「非常に産業政策、経済政策に対しては明確に行われるだろうということが、ひとつわたくしどもにとっては希望がもてる」。
レーガン政権ではプラザ合意で円高にされ、高い関税で日本の半導体メーカーは全滅した。対米で大きな貿易黒字をため込んでいる産業がない今、日本をターゲットにした強烈な関税は考えられず、ねらいは中国一本にしぼられる。
トランプ氏は、日本の駐留米軍のさらなる費用負担を求めており、日本は「今の自衛隊じゃなく本格的に再軍備を始めなきゃだめな事態になる最初の年になるのではないか」、「いずれにしろそういう強烈な権力者が生まれる」。
産業界にとっては、ふつうの会社の粗利が吹っ飛ぶくらい為替が変動するが、「必ずチャンスはめぐってくる」ので、動揺せずに腰を落ち着けて作戦を練ることが大切。しっかりと情報収集して英知を集め、自分の会社は自分で守る、自分の会社が変革期をとらえて飛躍するのだという固い決意で前向きに取り組めば、どんなことが起きようとも「すべてチャンスに変えることができるだろう」。燕商工会議所も「いろんなチャンスをとらえて会員の皆さまがたにアピールをしながら1年間、頑張ってまいりたい」。
優秀な市長がいろんな施策を打っている。「なかには新聞紙上で失策をにぎわわせているところもあるが、そんなのはあまり大したことはないが、市民は良く見ているから市長も力強く自分の信じた政策を大きく前進させていただきたい」。
去年は、銀行の新年会の頭取や偉い人の株の話や為替の話が1週間もたたないうちに全部うそになる「でたらめな年」で、「誰ひとり(予想が)当たらなかった年。それくらいいろんなことがあった」。「ことしは今までに苦労して頑張ってきた事業所がもうかってもうかって仕事のしたてがならんというくらい商売繁盛する年になるだろうと思うので、皆さんと手を携えてことし1年間、頑張ってまいりたい」。
細田健一衆院議員
市長から東部学校給食センターはどうしてもことしから建設したいという強い希望があり、自分からも直接、文科省の官房長に直接、話をして昨年成立の補正予算で手当てした。
国道116号バイパスは米山知事から直接、依頼があり、一緒に国交省の道路担当の政務官に会ってもらった。国と県の意見の齟齬(そご)があったが、意見の調整に向けた大きな第一歩になったと考える。
ことしは農振除外、農用地の工業用地への転用についてぜひ取り組みたい。09年以降、規制強化されて厳しくなっているが、発想を変えて規制緩和特区で風穴を開ける方向で考えられないかと作業を進めている。
漆原良夫衆院議員
テレビで最近、燕のものづくりの話が良く出てうれしい気持ちでいっぱい。国会がいつ招集になるかわからないが、「何を置いても29年度予算を通すことに全力を通したい。そして景気の下支えをしっかりとやり抜くことがまず大事」。国道116号バイパスは与野党一緒になって頑張りたい。
世界が不透明な時代。どうやって日本が生き抜くかがいちばんの課題。ぜひ安倍首相は首脳会談を行ってトランプ氏の考えを掌握し、情報収集に全力を尽くしてもらいたい。政治は数の安定のほかに質の安定が大切。各政党が国民の声をきちっと吸収できる、政策に反映できる政治でなければならない。まさに誠実の質が安定しなければならない。「これからもわれわれ国民目線でしっかりと政治の安定に取り組んでまいりたい」。
鷲尾英一郎衆院議員
先月はワシントンへ行き、トランプ新政権になると人事を差配するヘリテージ財団で話を聞いてきた。トランプ氏は在日米軍の駐留経費やどれだけ日本政府が負担しているか知らない。ちゃんと話せばトランプ氏も理解する。
米国がTPPに戻る可能性はなく、逆にプランB、二国間での交渉では、TPPより有利な条件でしか米国は交渉しなくなり、日本にとっては痛しかゆしになる。
人手不足に悩む企業が多い。政府は働き方改革を進めるが、副業奨励は労務管理の問題に直結する。昨年、農協改革で大がかりな提案があった。特区を使って外国人技能実習制度とは違う枠組みで外国人労働者を活用しようという取り組み。これは議論の進み方によっては中小零細企業や地域社会にも影響が及ぶ。
少子化問題の対応は国、県、市が連携して取り組む。国道116号バイパスは米山知事も前向きな反応で、米山知事から国交省で頭を下げてもらったおかげで、政府も前向きに。今、県、市に政府からあらためてボールが投げ返されている。どういうボールを政府に打ち返すかで、完成する期間が変わる。
桜井甚一県議
昨年は知事が代わり、米山さんはどういう人かと多くの人に聞かれる。知事の頭のなかにしっかりとあるのは、医療と教育だけ。それ以外は各部局のレクを積み重ねている段階と思う。
議会の論戦は11月、12月とあったが、久しぶりに「ああ言えば上祐」という言葉を思い出すようなやり取りだけが行われた。「わたしどもも県政史上初の野党となったが、今のところ知事与党の諸君が頑張っていただくなかで、だめな場合はわたしどもが責任ある野党として対応しなきゃいけない」。2月の新年度予算の具体的な数字を見るまでは何とも言えない。
高倉栄県議
平均起業年齢は全国平均35.6歳、新潟県は40.7歳、燕市は県内でも6番目に平均起業年齢が高い。100年以上の歴史をもつ企業の数は全国で5番目に多く、まさに10人以下の企業が連なる中小零細企業の62%がここに出席している。日本経済、新潟県の経済のど真ん中に燕市がある。
国は教育再生実行会議で2030年までに週労働時間が15時間、25年までに約半数の仕事を自動化する。15年に小学校1年生が大学生になったとき、今ある65%の企業に就職しない。その意味は35%しか今の業種、業態が残らないという議論もある。
燕は絶対に変わってはいけない。燕市のものづくり、産業は普遍であり、不易である。今、日本の歴史、文化が世界から注目されている。燕のものづくり精神、産業精神は情熱。情熱の源は感動。燕のものづくり産業には情熱と感動と汗と涙の結晶が詰まっている。