三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)では、14日夜から15日明け方にかけて奉納されたろうそくをともし続ける小正月の行事「献灯祭」が行われた。氷点下となるこの冬いちばんの厳しい冷え込みで、雪に包まれた境内での献灯祭となり、参拝者はたくさんのろうそくの火に商売繁盛や家内安全を祈願した。
江戸末期の安政年間から始まったといわれる三条の冬の風物詩。ことしは高さ約80センチ、重さ8貫目(30キロ)のろうそく2本を最大に、5貫目32本、3貫目1本の計35本の和ろうそくが拝殿に並んだ。
14日は午後7時から神事のあと、国定勇人三条市長が胴に「三条市長」とあるろうそくに点火したのを皮切りに、献納者がそれぞれのろうそくに点火した。
続いて八幡宮拝殿裏手にある金山神社でも同様に神事を行ってから献納された650匁(約2.4キロ)のろうそく79本もそれぞれの奉納者が点火。一方で拝殿裏手で炊き上げも行われた。
11日から冬型の気圧配置が強まり、14日は雪は弱まったものの三条は最高気温−0.9度のこの冬初めての真冬日。神事が始まった午後7時の気温は−3.1度で、いくら防寒着で体を温かくしても風が顔を刺すような厳しい冷え込みだった。
境内は泥でぐちゃぐちゃになっている年が多いが、ことしは雪に覆われた。境内に並ぶ露店の電球のあかりが白い雪に反射して境内を明るくし、華やかな印象に。反面、踏み固められた雪が光るほど凍り、足を滑らせて転ぶ人が相次いだ。
雪が激しく降ることは少なかったが時折、突風が吹き、木の上に乗った雪がどっと落ちてきて「きゃーっ!」と悲鳴が上がることもあった。
昨冬の交通がまひするほどの大寒波のイメージが残っているせいか、参拝者は例年より大幅に少なかった。拝殿からは参拝を待つ人の行列ができるのがふつうで、境内の外にまで行列が延びる年もあるが、ことしは行列ができず参拝の待ち時間はゼロ。寂しい感じは否めなかったが、参拝者にとってはゆっくり参拝できてラッキーで、じっくりとろうそくの火に手を合わせていた。