三条市井戸場、土田農園(土田広樹代表)の製造販売する西洋ナシ「ル レクチエ」にバラの花のフルーツカービングを施した「ル レクチエ カービングコンポート」が、13日発売のマガジンハウスの雑誌『BRUTUS』の特集「日本一の『お取り寄せ』グランプリ。」にエントリーされ、秋元康さんがセレクトした手みやげ賞に選ばれた。
特集では「2017年にお取り寄せするべきものはどれなのか?」として、全国から16ジャンルの逸品を各12品、計192品にしぼり込んだ商品を紹介。4人の審査員がすべてを試食し、ジャンルごとに上位3位を決め、獲得ポイントによってグランプリを決定。さらに、「手みやげにするなら?」という視点で4人の審査員が5品ずつをセレクトし、20品を選出した。
カービングコンポートは、「果樹園デザート」ジャンルの12品のうちの1品に選定され、グランプリとはいかなかったものの、作詞家の秋元康さんは1位に評価。さらに、秋元さんは「手みやげ賞」としてカービングコンポートを選出した。
土田さんがこの知らせを最初に受けたのは、昨年12月の「ル レクチエ」の出荷最盛期のころで「すごいこととは思ったが、ひたっている暇はなかった」。発売した雑誌が手元に届き、じっくりと見たところで「すげ〜、秋元さんが絶賛してくれている」と、あらためてその評価と人気雑誌への掲載を実感した。
カービングコンポートは、1瓶1万円という同特集に登場した商品のなかでも高価な価格帯だが、雑誌発売直後から、数件の注文がきているという。
「作り手としてもどんどん評価されることは、うれしい」と土田さん。加工品というとB級品やC級品があるから作るというイメージだったが、このカービングコンポートは、作り手の思いも伝えられる。
特集で秋元さんは「作り手のこだわりが見える品などは、語りたくなりますよね」と評価した。その言葉通り、土田さんは思いをめぐらせながら食べてもらえると思うと言い、「ル レクチエ」を知らない人たちにも食べてもらえたら普及にもつながると期待する。
土田さんが大切に育てた「ル レクチエ」を、果物や野菜に彫刻を施すタイの伝統的な文化のひとつカービングの技術でバラの花やつぼみに仕立てているのは、カービング作家の伊丹宏子さん。その技術にも2014年の開発当初から試行錯誤を重ねている。
「ル レクチエ」は、柔らかくとろみがあって本来はカービングに向かない。収穫して追熟後の1月を中心に作業するので、果実は思ったより冷たく、苦労も多いが、形や加工方法は常にベストを目指している。
通常のフルーツカービングは、生野菜や果物なのですぐに傷むが、カービングコンポートなら賞味期限は6カ月にもなる。果実に施された繊細な造形を長く楽しんでもらえるのは「画期的」と伊丹さん。今後はバリエーションを増やし、よりたくさんの人にカービングコンポートを味わってもらえたらと期待する。
コンポートに仕上げるのは、有限会社四季の定期便=三条市大島=代表の白鳥賢さん。今回の評価に、「秋元さんは、今の時代のどこに価値があるかを見つける天才。そういうところに光栄だなと思う」、「普通はしない、そこをあえてやるということをみてもらえた」と受け止める。