自動車よりコンパクトで地域の手軽な移動の足となる1人から2人乗りていどの車両「超小型モビリティ」。それを産業観光や「燕三条 工場の祭典」で課題となっている二次交通手段としての活用の可能性を探ろうと、2月1日から3月19日まで燕三条地域で超小型モビリティの実証実験が行われる。
2012年に超小型モビリティの実証実験が始まり、13年に一部の基準を緩和して公道走行を可能とする超小型モビリティの認定制度が設けられた。
新潟県でも実証実験に取り組み、県内で導入実証を行う委託先を募集し、すでに新潟市内で実証実験が行われている。今回は燕市東太田、株式会社MGNET(マグネット)の武田修美代表取締役を会長に「燕三条 工場の祭典」にかかわる燕三条地域の燕市と三条市、燕三条地場産業振興センター、三条ものづくり学校、メーカー7社で燕三条地域資源活用事業協議会を組織して委託を受けた。
実証に使う車種は委託先が選ぶことができ、選んだのは「日産ニューモビリティコンセプト」。電気自動車で前後2人乗り、全長2,340ミリ、全幅1,230ミリ。最高速度は約80km/h、航続距離は約100km。これを3台導入し、実証期間中は1台は燕市・武田金型製作所に、ほか2台は一定期間ごとに協議会会員に順に配置し、各社の社員や来訪者がテスト利用する。
走行可能エリアは燕市と三条市に限定され、自動車専用道路は通行できない。実証内容の記録や結果のとりまとめも行う。
実証に向けて26日、三条市・三条ものづくり学校で超小型モビリティ安全運転講習を行った。協議会会員が受講し、用意した2台を使って自動車イベントの企画、制作、運営を手掛ける株式会社ハーズ(東京都世田谷区)の担当から講習を受けた。
運転の基本は車と変わらないが、一般的な車と違う運転操作や小さいがゆえの運転感覚の違いを学んだら、さっそく公道へ。中央商店街の大通りも走ってみた。超小型モビリティを見かけてドライバーも歩行者もあまりの小ささに目を丸くして見入っていた。
運転を体験したマルナオ株式会社の小川直也さんは「大きさの割にはパワーがあった。これで工場を回れるようになればとくに夏はいい」、諏訪田製作所の斉藤類さんは「雪道でも全然、走れたし、楽しかった。うちとマルナオさんは近いので、その間の移動にはすごくいいと思った」と好感触だった。
県の実証実験は今回のケースが最後になりそう。協議会では、ことしの秋の工場の祭典にあわせた実証はもちろん、あまり期間を置かずにその前にも実証を行いたい考えだ。
会長の武田さんは、ことしの工場の祭典の実行委員長でもある。実証の意義について「前例がない状況をなくすことがまず大切。次のステージは来訪者にも使ってもらうことで、第三者に伝えるノウハウも必要になってくる」と言う。さらには「超小型モビリティの生産を燕三条でとなれば、いちばんしっくりくる。そうした動きにもつなげていきたい」と夢を膨らませている。