冬の岩室のPRになればと、NPO法人いわむろや(新潟市西蒲区岩室温泉)は、岩室のさまざまなイベントに参加できるオーナーとなる「冬の岩室まるごとオーナー」事業として28日、「岩室温泉ゆもとや」でこの日発売となった地元宝山酒造株式会社(新潟市西蒲区石瀬)の新酒「二才の醸(かもし)」のお披露目会を開いた。
イベントは、昨年11月19日に「二才の醸」仕込み見学、12月10日にダイコン掘りの冬の農業体験、そしてこの日の「二才の醸」お披露目会、翌29日の岩室温泉のまち歩きと4日間の日程で計画。1組2万円で参加者を募集し、県内と首都圏からほぼ半々の33人がオーナーとなった。28日はそのうち約30人が参加した。
「二才の醸」は2014年に埼玉県幸手市の石井酒造が20代だけで造る酒として企画。「青二才」の「二才」からネーミングしたが、杜氏(とうじ)が30歳となることから、この銘柄を受け継いでほしいと頼まれ、宝山酒造が譲り受けた。
宝山酒造では「二才の醸」の二代目プロジェクトを立ち上げて取り組んだ。メンバーは、酒を造る五代目蔵元の渡辺桂太さん(28)をはじめ、同社の営業マン、ラベルデザインの新潟デザイ専門学校生、原料米を提供した地元「とみやま農園」の生産者のいずれも20代の4人だ。
同社は日本酒用の酒米だけでなく、飯米のコシヒカリを原料にした純米吟醸も生産している。「二才の醸」も60%精米のコシヒカリから造り、720ml1,500円、1,800ml3,000円で発売した。オーナーは720mlを1人1本持ち帰る。
お披露目会では、ゆもとやが用意した料理とともに「二才の醸」を味わった。「二才の醸」の乾杯では、その香り高い風味に「おーっ」と参加者からは驚きの声が上がった。酒を仕込んだ渡辺さんは、「新潟県醸造試験場からも、ものすごく酒質がいいと言われた。ちょっとできすぎかなというくらい」と喜び、20代最後の来年はもう一度、「二才の醸」を仕込む。
「冬の岩室まるごとオーナー」について新潟市岩室観光施設いわむろやの小倉壮平館長は「ほかで行われているオーナー制度をぼくらがやったらどうなるかという実験でもあった。岩室温泉の旅館組合と観光協会を巻き込んだひとつの形のチャレンジだった」と手応えを感じ、次回もさらに内容を充実させて実施したい考えだ。
また、「二才の醸」は宝山酒造といわむろやのほか、岩室地区の酒店で販売している。