ドイツ在住ジャーナリスト 高松 平藏氏
私はドイツのエアランゲンという10万人都市を継続的に取材・観察し、地方の発展をテーマに執筆・講演活動をしている。その立場からいえば、地域報道サイト「ケンオー・ドットコム」の2016年のYahoo!検索大賞の新潟県部門賞受賞はとても興味深い。
新聞といえば、日本は全国紙が中心だが、実は世界の多くは地域紙が主流だ。エアランゲンでも、「エアランゲン・ニュース」という同市の名前がついた新聞がある。
では、なぜ地域紙があるのか?あるいは必要なのか?。それは、地域報道とはその地域のダイナミズムを生む情報流通のインフラだからだ。誰が何を考えて、何をしているのか、Know-How ならぬ Know-Who情報が地域のダイナミズムをひきおこす。地域報道はそういうところをかなりカバーする。
さらにエリアの出来事が蓄積されると、そのまま地域アーカイブになり、地域のアイデンティティをかたちにする源泉になるだろう。
そう考えると、ケンオー・ドットコムは想像以上にこの地域のダイナミズムを支えているのだと思う。今回の受賞はその証左といってもよいかもしれない。
ちなみに私がこのサイトを知ったのは、数年前まで遡る。講演のために新潟を訪問したとき、同サイトの代表でもある佐藤雅人記者が記事にしてくださったことがきっかけだ。以来、サイトにアップされるニュースと地域の動きの相関関係に興味がわき、ちょくちょく記事を拝見している。(了)