今年度末の閉校まであとは閉校式典を残すだけとなった三条市立三条小学校で11日、山鳩コンサートが開かれ、三小卒業生や地元住民ら約300人が来場して三小ゆかりの演奏やパフォーマンスで三小の歴史と伝統を感じた。
コンサートでは、三小135周年記念式典の演奏を機に発足した三條太鼓相承会による和太鼓演奏、学区内にある八幡宮の藤崎重康宮司による篠笛と尺八、八幡宮春季祭礼「三条祭り」の大名行列を支える三条先供(やっこ)組合の先供練り歩き、篠笛同好会シノーンの演奏で三条夏まつりの民謡流しの「三条おけさ」の踊りも披露した。
三小で演奏の経験のある田上町のピアニスト田上真彦さん、三条市のコーラスグループの紫苑コーラスが出演。さらに児童が応援歌を歌うムービーを鑑賞、最後は校歌の大合唱で締めくくった。
三条祭り以外で先供練り歩きが披露されるは極めてまれ。あわせて「三条おけさ」が三条夏まつりの雰囲気を演出し、三条の1年を凝縮したよう。三条市民、とりわけ三小卒業生には、それぞれのふるさとの記憶と重なるコンサートで、ハンカチで涙をぬぐうお母さんを子どもが心配そうに見詰めるひとこまもあった。
三条市出身で三小卒業生、東京交通短期大運輸科准教授の藤井大輔さん(41)は、祖母の命日の墓参りもも兼ねてこの日のために東京から帰省した。昭和63年度卒業の昭和最後の三小卒業生。三小144年の歴史から考えると、さかのぼって5代くらいは三条小を卒業したことにになる。小学校教諭だった亡き父が三小に勤務したこともある。
藤井さんは「学校がなくなるのは仕方ない。子どもたちがいないんだから。子どもたちのことを考えれば本音は残念だけど、卒業生の皆さんがこれだけのことを企画してもらったことには、感謝しかない」と大満足だった。
コンサートは、三小OBの三条市・会社社長中條耕太郎さん(46)が、三小がまもなく失われるのを前に「三小の伝統、歴史を残したい」と知り合いのOBらに呼びかけて実現。中條さんも「大勢の人に集まっていただき感謝している」と喜んでいた。