燕市立小池中学校(笠原徹校長・生徒230人)は、燕市の「羽ばたけつばくろ応援事業」の補助金支援を受けた「糸半(いとはん)プロジェクト」として13日、同校でゲストティーチャーによる特別講演会を開いた。
講師は地元の株式会社中野科学(燕市小池)の中野信男社長。同社はステンレスの電解研磨や参加発色など金属の表面処理を手掛ける。中野社長は会社経営のかたわら大学院へ入学して今も勉強を重ね、ステンレスの鏡面加工の先駆的研究を行ったパイオニアだ。
体育館に全校生徒が集まって聴講し、演題は「学校の授業は宝の山だ」。それとは相反するように中野社長は「勉強が嫌いで嫌いでしようがなかった」と、ほとんどの生徒にとっては共感を得るような話で始めた。
嫌いだった理由も「その勉強がなんの役に立つのかわからなかった」。しかし「自分の気持ちを伝えたかったら国語は一生懸命、勉強しないと」、「人に気持ちを伝え、人の気持ちをくみとるにも国語力が必要」と話した。
教科では理科が好きで、数学も好きになった。理科が好きになったのは、友だちから真空管ラジオを作れると聞いたのがきっかけ。中学生の自分でも作れることを知って興味をもち、専門誌「初歩のラジオ」を購読し、回路図を見てラジオを作るようになった。その時代にものづくりの思考が身に付いたことなどから順に歩みを振り返った。
糸半プロジェクトは生徒と地域が縦糸と横糸の関係で布を織り成すようにつながりを深めたい地域貢献活動。名称は「絆(きずな)」の字をへんとつくりに分解して「糸半」。昨年に続いて生徒会が「羽ばたけつばくろ応援事業」に応募し、採用された。
今年度は高齢者宅の訪問や地域と合同の防災訓練を行っており、ゲストティーチャーによる特別講演会はこれが初めて。笠原校長は「根本的に勉強は何のためにするんだとか、自分は今これをやっているのかという機会になればいい」と期待した。