昨年4月1日の改正農業委員会法施行で「農地等の利用の最適化の推進」に関する意見の提出が義務づけられたことから燕市農業委員会(長谷川治会長)でも17日、鈴木力燕市長に対して、燕市農業施策に関する意見書を提出した。
長谷川会長をはじめ本井佐登志会長職務代理、大久保政博農地部長、農業委員の市議3人が午前9時に市役所を訪れ、長谷川会長が意見書を読み上げて鈴木市長に手渡した。
意見は6項目で、米政策の見直しと収入保険制度創設への的確な対応、燕市のブランド産品「飛燕舞」等の推進、燕市の独自支援策「チャレンジ・ファーマー支援事業」の拡充、土地利用型農業経営の体質強化、女性農業者への支援等について、遊休農地の発生防止・解消対策の推進、基盤整備の一層の推進。
鈴木市長は受け取った意見について「いずれも重要な項目だと思う。市独自の対応はもちろん、国や県の要望なり、要請なり含めて事務担当ともいろいろ相談しながら取り組んでまいりたい」とした。
ただ、平成29年度の予算編成は終わっているが、チャレンジファーマーの拡充、女性や若者の支援、農商工連携などは新規事業や拡充事業を予算案に盛り込んだと説明した。
燕市農業委員会では、初めての意見書の提出でもあり、役員会で意見書の原案をつくり、一部修正を含めて総会で承認を受ける作業に手間取り、予算編成後の提出になったたため直接、意見を市の新年度予算に反映してもらうことはできなかった。
長谷川会長は「予算組み立ての前に提出できれば良かったが、農林部で要求している予算を確実に執行してもらいたいという思い」とし、鈴木市長も次回は早めの提出を勧めると長谷川会長は「来年は11月中ごろから末いっぱいには提出したい」と話した。意見書の内容は次の通り。
燕市農業施策に関する意見書
日頃より、燕市農業の振興・発展に対して、御尽力されておりますことに敬意を表しますとともに、私どもの農業委員会活動に際して、特段のお力添えを賜り厚く感謝申し上げます。
燕市農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化や後継者不足等で農家の減少が続く中にあって、法人化の立ち上げや経営規模の拡大など、農業の構造改革は進展していますが、未だに農業経営は非常に厳しい状況にあります。また、本市の農業形態は、大小の家族経営型兼業農家や農業生産法人とが共存し合いながら地域農業を守りつつ、燕市の農業・農村の発展に寄与しているところであります。
その中において、国は所得保障の廃止等による農業の30年問題やTPP承認案等が昨年12月、国会で承認され農業の生産現場は不安や疑問で大混乱を起こしている状況にあります。
このような状況下で、昨年4月1日に改正農業委員会法が施行され、農業委員会は従来にも増して、「土地と人」の要の対策である、農地情報の収集と提供、担い手の育成・確保の取り組みが求められている中、新たに「農地等の利用の最適化の推進」に関する意見の提出が義務づけられたところであります。
燕市農業委員会は、今後の燕市農業の発展に向けて、生産現場の声が施策に反映され、農業の持続的発展、及び担い手が誇りとやり甲斐を持って取り組めるよう、農業委員会法第38条第1項の規則により意見の提出をいたします。
平成29年2月17日
燕市農業委員会 会長 長谷川 治
意見書
1 米政策の見直しと収入保険制度創設への的確な対応
平成30年産から行政による米の生産数量目標配分の廃止等を踏まえ、これに向けた対応が検討されていますが、今後の需要に応じた米の生産と水田フル活用が着実に行われるように産地交付金等関連予算の十分な確保や、農業者段階での混乱が生じないよう生産数量の情報等を提供するなど、現場段階で実効性のある支援等をお願いします。
また、現在導入に向けて検討が進められている収入保険制度については、農業者の期待に応える制度設計にするとともに、導入に当たっては十分な周知を行い、農業者段階での混乱が生じないよう円滑に実施できるようお願いします。
2 燕市のブランド産品「飛燕舞」等の推進
燕市のブランド産品であります、減農薬・減化学肥料栽培米の燕市産コシヒカリ「飛燕舞」について、今後の取組みが幅広く、作付け拡大につながるための燕市独自支援策として、有機資材などの生産費軽減措置に取り組むようお願いします。
また、「つば九郎米」を含めた戦略性のある販売網の構築、消費者ニーズを捉えた新たな支援・販路開拓に向けての御尽力を期待いたします。
3 燕市の独自支援策「チャレンジ・ファーマー支援事業」の拡充
農家からの要望に対して、十分な予算処置と更なる拡充を図り、農産物の高付加価値化、複合営農・6次産業化の推進、水稲のコスト低減などの取り組みに対して、事業導入可能な施策の見直しとともに、担い手である若者が持続可能な農業経営に望めるような仕組み作りをお願いします。
4 土地利用型農業経営の体質強化
農地の受け手である土地利用型(稲作・大豆)農業経営の体質を強化するため、農業機械等の更新時補助について、燕市独自の補助制度に積極的に取り組むようお願いします。
また、農業機械等の導入による融資残を、スーパーL資金で借入れする場合の金利負担軽減措置等の対策を更に強化・継続することをお願いします。
5 女性農業者への支援等について
女性農業者の地位を最大限発揮できるように「家族経営協定の締結」の推進、男女共同参画や高齢者の活動推進に対して積極的に取り組む女性農業者への支援策を措置することをお願いします。
6 遊休農地の発生防止・解消対策の推進
農業委員会は、遊休農地の発生防止・解消対策として、農地法に基づく農地利用状況調査や利用意向調査、農地中間管理機構との協議の勧告などを計画的かつ着実に実施するために農地パトロール活動に取り組んでいるところであります。
農業委員会の遊休農地に関する指導等が的確に行えるように、燕市及び関係機関の協力体制づくりをお願いします。
7 基盤整備の一層の推進
農地中間管理機構と連携しつつ、担い手への利用集積を促進するための基盤整備の一層の推進を図るとともに、貸し手の負担を伴わない仕組みによる基盤整備事業の創設、条件不利地域等の実情に即した機構が借り受ける農地の円滑な管理について、予算措置を含めたリスク軽減対策を講じることをお願いします。