三条署(桜井秀昭署長)は23日、名義貸し等トラブル解決名目の特殊詐欺被害を未然に防いだ三条信用金庫本店(三条市旭町2・星野光一本店長)と職員2人に感謝状を贈った。
午前10時半に、三条信用金庫本店の板垣義弘次長、副調査役の多田雅弥さん(56)とテラー(窓口)係の阿部詩織さん(25)の3人が三条署を訪れ、桜井署長が本店への感謝状を読み上げて板垣次長に手渡し、続いて、店内で対応にあたった多田さんと阿部さんの2人にそれぞれ感謝状を手渡した。
2月1日に三条市内に住む70歳代の女性が、「200万円か300万円くらいを下ろしたい」と同店を訪れ、その引き出し理由があいまいなことなどから特殊詐欺被害を疑い、三条署に通報して被害を未然に防いだ。
女性は、窓口の阿部さんに、預金を下ろしたい理由として、「自分の娘の旦那がリストラにあい、住宅ローンが払えなくて困っているから」、「本当は言いたくないんだけど、(理由を言わないと)下ろせないから言うね」と話したという。金額も多額であいまいだったこともあり、上司の多田さんに報告した。
さらに女性は、前日に同金庫の他の支店で400万円を下ろそうとしたが、その支店では正当な理由が見つからないとして、いったん家に帰って確認なりするよう促された。「支店で断られたから本店に伺った」と話した。
多田さんたちは、娘さんに連絡をとらせてほしいと話したが、「携帯電話の番号はわからない」、「自宅には夕方しか戻ってこない」と連絡がつけられず、さらに前の日に400万円と言っていた金額は「300万円でも200万円でも」と変わったことなどおかしいと思う点が多く、特殊詐欺と感じ、三条署に連絡して協力を求めた。女性はこの日、預金を下ろすことはなかった。
翌日、あらためて警察が女性に事情を確認したところ、娘の話はうそとわかった。本当の理由は、老人ホームの入居権を譲ってほしいといった電話があり、名義だけでも貸してほしいなどと話された。その後、別の者が電話をかけてきて「名義貸しは犯罪だ、逮捕される」などと脅し、現金をだまし取ろうとされたもの。電話の相手は、不動産業者や弁護士などを語る計5人くらいが登場する手口で、預金を下ろすための嘘の理由など金融機関での対応も指示されるのだという。
多田さんは対応時、前日に女性が訪れた支店に電話をしており、情報を共有したことで落ち着いて対応ができたとし、本店内、本支店間の連携で未然防止につなげることができたと話した。