東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故で三条市に避難する人などでつくる「さんじょう∞ふくしま『結』の会」は11日、東日本大震災六周年追悼式典に続いて、交流事業を行い、これまでの支援への感謝の気持ちを伝えた。
「結」の会は、福島から避難している有志と三条のボランティアなどの支援者でつくり、追悼式典をはじめ、避難者同士や三条など地元住民との交流の活動などを行っている。
交流事業では、同会の佐竹紀代表(77)による「感謝のことば」、追悼演奏として三條太鼓三小相承会が太鼓演奏を行い、参加者に「結」の会の記念缶バッジなどを記念品として贈った。
佐竹代表は、震災発生の翌日に発生した福島第一原発の爆発事故で自宅のあった南相馬市小高区に避難指示が出されたところから避難生活が始まったことを話し、「着の身着のままで三条市に避難してきた日が、昨日のことのよう」と振り返り、これまでの支援に感謝した。
昨年、小高区など20キロ圏内の避難指示が解除され、ことし3月末に浪江町が解除されるなか、「6年という長い歳月の中で、荒れに荒れ、汚れに汚れた自宅と、その周辺を目の当たりにするにつけ、正直に解除を喜べないのが本音」。
しかし避難指示解除の現実に「避難者一人ひとり、各家族の責任において、自らが選ぶ方向に向かって、その道を進まなければなりません。これからが、まさに正念場」と自らの考えを示し、原発事故は過去の話ではなく、今なお続き、いっそう深刻な状態になっていると話した。
追悼演奏は、ことしも三條太鼓三小相承会の太鼓で、力強い演奏に、100人以上の観客から大きな拍手が贈られた。三條太鼓三小相承会は当初から避難者を励ます演奏をさまざまな場面で行っている。昨年、中学1年生で正式メンバーに加わった福島県浪江町の田辺壮太さん(15)も親世代のメンバーに混じって堂々と演奏した。
田辺さんは、三条市に避難して通った三条小学校の4年生のときに、学校で三條太鼓三小相承会に太鼓を教えてもらった。5年生になった2014年の交流事業で飛び入り演奏してから毎年、演奏に加わっている。
「演奏を聴いてくれた人が、少しでも元気になってほしいという思いでたたきました」と田辺さん。相承会への参加については、「地域を盛り上げたい」、そして「自分を鼓舞するため」と言い、「練習がつらい時もあるけれど、難しかったことができたときの達成感など、やりがいがあるし楽しいです」としっかりとした言葉で答えた。
年に1度、この日に顔を合わせる人たちもおり、田辺さんが背が高くおとなっぽくなったと驚きながら「よかったよ」と心のこもった演奏と田辺さんの成長を喜んでいた。