燕市は19日、燕三条地場産業振興センターで燕市成人式を行い、はたちの門出を祝った。対象者842人のうち出席は83.7%の705人。出席率は昨年の約78%を大きく上回った。
式辞で鈴木力市長は、はじめに1996年のアトランタ五輪で女子マラソン2大会連続のメダリストとなった有森裕子選手の「自分で自分をほめてあげたい」という言葉が流行語大賞になったことにふれ、社会でどう行動したらいいか「一人ひとりが真剣に考える日にしてほしい」と求めた。
昨年、ノーベル生理学・医学賞を受けた大隈良典氏の「誰がいちばん乗りするかを競うより、誰もやっていないことを見つける喜びの方が大事」という言葉を引用し、何ごとにも恐れず果敢なチャレンジに期待した。
昨年のリオ五輪卓球女子団体で日本は準決勝で2勝3敗で敗れたが、キャプテンの福原愛選手は「きょうの負けの原因はすべてわたしにあります」と語り、3位決定戦に向けた翌日の練習で「銅にも大きな価値がある。もう一度まとまって頑張ろう」と仲間に声をかけた。シンガポールに勝って銅メダルを獲得すると「キャプテンらしいことができたかはわからないが、常に2人が試合だけに集中し、最高のプレーができるように気づいたことやできることはすべてやったつもり」と福原選手は大会を振り返った。
石川佳純選手は「3人で勝ち取った勝利です。3人が個性を生かして、それが力になって、最後は結束して本当に大きな力になった」、伊藤美誠選手は「2人のおかげで勝ちがあったと思う。心強い先輩です」と話したことを紹介し、「努力と挑戦の先には必ず飛躍的な成長や成功が君たちを待っています」と激励した。
成人になった地域社会に目を向けてほしいとし、地方創生の推進力となることも期待。燕市は若い人を生かす取り組みとして「つばめ若者会議」、「燕ジョイ(エンジョイ)活動部」、「東京つばめいと」などの事業を行い、動画「燕市ダーツの旅」や「ブラツバメ」の配信も行っており、若者の参加、協力を願った。
最後に「わたしは君たちがそれぞれ自分の夢や希望に向かって歩んでいくとともに、これからの燕市が、さらには日本が新しい時代を切り拓いていく際の推進力なってくれることを心から期待しています。もちろんわたし自身、君たちが燕市の出身であることが誇りに思えるまちになるよう、これからも誠心誠意、努力していくことをお約束します」と述べた。
来賓祝辞で細田健一衆院議員は「夢、大切なこと、関心のあること、そしていちばん大事なこと、これを大切にして1日1日、たゆみなく努力を続けてください」、「本当に苦しいときに頼りになる友情を大切にしてほしい」、鷲尾英一郎衆院議員は、日本に生まれたすばらしさを知ってほしい、社会に対する意識を高めてほしいと求め、「皆さま方の前途が揚々たるものであること、希望に満ちあふれたものであることをお祈りする」と述べた。
新成人代表で新潟公務員法律専門学校2年の燕中出身・米山航輝さん(20)、早稲田大学国際教養学部1年の燕中出身・山後緑さん(20)の2人が二十歳の誓いを述べた。この春から新潟市消防局で消防士として働く米山さんは、専門学校に’学してひとり暮らしを始めてから親への感謝の気持ちをもつようになり、「何としてもこの2年間で結果を出し、親へ恩返しをしたいと大きなプレッシャーを感じた」。
しかし、友人の支えもあって一度もくじけずに努力を続けることができ、会うたびに輝きを増す友人、身近にいる友人の姿が直接、言葉を交わさなくてもモチベーションになった。「この感謝を忘れずに、わたしも多くの人を支える存在になれるよう日々、精進するとともに、新成人として社会人として恥ずべき行為がないよう新たな夢に向かってこれからも努力し続けます」。
山後さんは、燕市の産業の歴史をつくってきた職人や市民の思いは、今も市民の中に受け継がれ、燕市は「今のわたしたちの人生をつくってくれた場所」。大学は日常言語が英語という環境で、帰国子女の友人は世界を転々として故郷と呼べる地をもたない人も多いが、「わたしは燕市という故郷をもっていることがいちばんの自慢」で、燕市出身ということで東京で人や物との出会いもあり、燕市の工場を見学して燕にほれ込んだ友人もいる。
ことしはスペインのバルセロナ大学に1年間、留学して都市計画を学ぶ。「将来は燕市の誇るものづくりの技術や文化を世界に発信していける人にになりたい」と夢を語った。
式典のあと恒例で抽選会や記念写真撮影を行った。ことしも式典から新成人の私語も少なかったが、抽選会でもその状況は変わらず、こちらは逆に盛り上がりがもうひとつだった。
燕三条地場産業振興センターを会場に着付けをした人もあり、開式の3時間前の午前11時ころから会場に新成人の姿が見え始めた。にぎわったロビーも開式30分前にはみんな多目的ホールに入り、スムーズだった。
それでも日程を終わった後は久しぶりに顔を合わせる友人が話が弾み、ロビーや玄関前で足を止めてスマホで自撮りしたり、迎えに来た家族と写真を撮ったり。色とりどりの振り袖も華やかだった。