吉田高校と分水高校の燕市内2つの県立高校を小規模でも特色ある高校として存続させようと燕市と弥彦村は29日、県教委の池田幸博教育長に「燕市内の県立高校の特色化に関する提案書」を提出した。
燕市から鈴木力市長と中山真二市議会議長、両高校へ通う生徒が多い弥彦村から小林豊彦村長と武石雅之村議会議長が県教育庁を訪れた。
鈴木市長は「地元と県が連携して特色ある教育を進める県立高校のモデル高校となるべく一生懸命、取り組ませていただきたいと考えており、県と県教委にはぜひ地元の思いを受け止めていただき、実現に向けていろいろと協議させていただきたい」と求め、4人の連名の提案書を池田教育長に手渡した。
県教委は昨年3月に「県立高校の将来構想」を策定し、適性な学校規模を1学年あたり4〜8学級とする一方、特色ある教育活動を展開するうえであえて小規模が妥当な学校もあり得るとしている。
吉田高校の募集学級数は2018年度に3学級とする計画が公表され、分水高校は16年度からすでに2学級募集となり、このままでは両校の存続が危ぶまれる。
このため燕市は、両高校を小規模でも特色ある学校として今後も存続させようと総合教育会議や地元産業界、両高校の同窓会や後援会、PTAなどで懇談会を開き、両高校の特色化を検討し、燕・弥彦地域定住自立圏共生ビジョンを進める弥彦村とも協議し、提案書をまとめた。
分水高校の特色化については、新科目「公共」を実践的に学ぶ高校と位置づけ、地域資源や地域の人材を活用した授業を積極的に展開し、授業を補完する課外活動の活発化と特色ある部活動の強化を図る。
吉田高校は既存コースを踏まえて地域特性や社会ニーズを生かした福祉、外国語、観光ビジネスの科目を取り入れたコースに再編し、地域企業や大学と連携して外部講師を充実し、魅力ある授業を展開して多様な生徒の進路希望に対応する。提案書ではさらに具体的な特色化の内容を示した。
提案書の提出後、鈴木市長は提案の背景について、従来型の陳情だけでは意が伝わらないので提案型とし、他に先駆けてやるのが大切と考えて「先に言って先にいろいろと検討のテーブルがつくられることに期待している」とした。
池田教育長からは「燕、弥彦の提案については真剣に受け止めて検討させてもらいますというような言葉をいただいた」、「特色化を出せばだすほど、とんがればとんがるほどいろんな弊害もあるので、そのへんも課題として考えていく必要があるというような話もされた」。
また、「議論するテーブルというのをつくってもらいたいというのが、きょうの最大のお願いしたい肝だった」とし、テーブルができるかどうかは「検討させてもらいますというなかには、そういったことも含まれていると解釈してきょうは帰りたい」と前向きにとらえた。
高校と地元との連携で「市で出前講座やインターンシップの受け入れはやりたいし、少なくとも行政の部分はわたしが年に1回、2回と授業をもってもいい覚悟はある」とも話し、小林村長は「燕の鈴木市長からお話しをいただき、全面的に弥彦村としても一緒にやらせていただきたいということで、これからも一体となって一致してやらせていただきたいと思っている」と話した。