酒蔵として創業してから246年になる越後味噌醸造株式会社(木龍康一代表取締役社長・燕市吉田中町)は、ブームが続く甘酒市場に参入。自社でつくる米麹(こめこうじ)と燕市産のブランド米コシヒカリ「飛燕舞(ひえんまい)」を使い、世界3大広告賞受賞のデザイナー小玉文氏がツバメをモチーフにデザインしたラベルで飾り、“燕”にこだわった甘酒を500ml入り税抜き800円で20日、販売開始する。
甘酒は点滴と同じような栄養価の高い成分を含むことから「飲む点滴」ともいわれ、ブームになっている。昔は酒かすに砂糖を加えた甘酒が主流だったが、越後味噌醸造の甘酒は米麹と飛燕舞で作る。飛燕舞は農薬と化学肥料の使用を50%以下に減らした特別栽培米。近年、人気のすっきりとしたさわやかな飲み口のノンアルコールの甘酒に仕上がった。
ラベルをデザインした小玉文氏は、越後味噌醸造のグループ会社、今代司酒造株式会社(新潟市中央区鏡が岡)の日本酒「錦鯉」のまさにニシキゴイをそのままにデザインしたボトルで海外のデザイン賞を総なめにした。
甘酒のラベルには「地域の家庭を発酵、醸造を通して豊かにしたい、親子の健康を支えたい」との思いから飛ぶツバメの親子をデザインし、稲穂を食わえて親が稲穂を子どもに渡そうとしているような描写で、親から子への食文化の継承も表現。さらに3羽のツバメの姿で「ツバメ」の文字になっているのもユニークだ。
甘酒の製造ラインの整備に約1,600万円を投じ、うち4分の3は国の革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金を受けた。生産量は月産千本と計画したが、すでに小売業者から月800本の注文があり、増産の見通しだ。
製造に対応するため、年明けから新たに社員3人を採用し、さらに店舗での販売担当も含めて2人を募集中だ。
越後味噌醸造は1771年(明和8)に酒蔵として創業。しょうゆの製造を手掛けたこともあるが、近年はみそと一部みそ漬けを製造してきた。2015年に事業承継し、株式会社和僑商店(新潟市中央区古町通二番町)のグループ会社となった。そして「新たな商品の軸を設けたい」と目を付けたのが甘酒だった。
木龍康一社長は事業承継の命を受けて越後味噌醸造に移ったが、それ以前に今代司酒造で甘酒製造を手掛けたことがあった。昨年10月に製造ラインを設けて11月に稼働してから外注を受けて甘酒を製造してきた。
燕三条ブランドコーディネーター会議が定める燕三条ブランドのロゴマークの認証も受けた。燕市のひうら農場、三条市の内山農園とともに食品関係で認証を受けたのは初めて。県内でも甘酒市場への参入が相次いでおり、木龍康一社長は「燕にこだわり、燕市の新たな食の特産品になってほしい」と話している。
甘酒は20日から越後味噌醸造の店舗のほか、当面は燕三条地場産業振興センター、燕三条駅観光物産センター「燕三条Wing」で販売する。問い合わせは越後味噌醸造(電話:0256-93-2002)へ。