春の弥彦観光の幕開きを告げる湯かけまつりが15日、弥彦村の温泉街で行われ、あいにくの雨が降る花冷えのなか、満開のサクラが春を彩る温泉街を一般の人も参加して神湯を載せた湯曳き車(ゆひきしゃ)を引き、威勢良く練り歩いた。
弥彦に春を告げる恒例のまつりで、弥彦に活気をと始まってことしで32回目。弥彦公園内にある弥彦温泉発祥の湯神社からいただいた神湯を湯曳き車に載せ、午後からJR弥彦駅前で出発式。
弥彦よさこい「添弥」の踊り、湯かけまつりを主催する弥彦観光協会の神田睦雄会長や小林豊彦村長、高倉栄県議のあいさつのあと、主管する弥彦神社氏子青年会のことし第15代会長に就任した会社役員三方剛さん(38)を皮切りに木遣り(きやり)を歌って出発した。
「えんやー!」のかけ声とともに湯曳き車の前後にある綱を引いて進む。あわせて白丁を着た会員が神湯を含ませた青笹を観客に払いかける。神湯は厄除開運、無病息災、学業成就などのご利益があるとされ、観客は頭を下げて払いを受ける。
湯曳き車の前側に綱があり、一般参加は前の綱を引く。後綱(あとづな)を引く氏子青年会らはいたずらして逆方向に綱を引くので綱引きのようになって盛り上がる。途中で木遣りや踊り、氏子青年会の年長児以上、鳴り物は中学生以上の小若組によるたる太鼓の演奏もあり、観客を楽しませる。
弥彦神社境内に入ったら手水舎(ちょうず)のところで神湯を湯曳き車からみこし3基に移して拝殿へ。うち1基は拝殿前で激しくみこしをもみ、湯は空っぽに。神事を行って終わった。
温泉街のサクラは、湯かけまつりにあわせたかのように満開。JR弥彦駅前に建ち荒れ放題だった旧やひこ観光ホテルの解体工事が3月末で終わった。それまでホテルの影になって見えなかった弥彦山が眼前にそびえる絶好の弥彦山のビューポイントとなった駅前から湯曳き車がスタートした。
弱い雨が降り続き、一般の参加は例年より明らかに少なかったが、盛り上がりは変わらなかった。湯曳き車の上からひしゃくでまく神湯にぬれ、氏子青年会会員は震える寒さだったが、声を張り上げ、全身を使って後綱を引いて寒さを吹き飛ばした。
一般参加者も後ろに引っ張られまいと力一杯、綱を引き、「楽しー!」と興奮し、笑顔であふれていた。