1894年 (明治27)に京都で創業、「光の織物」として愛される錦織を継承する株式会社龍村光峯の代表取締役、4代目龍村周(たつむら・あまね)氏(42)の新潟県内で初めての作品展が、22日から5月28日まで燕市産業史料館で開かれている。
龍村周氏と先代で当主の龍村光峯(こうほう)氏の作品をはじめ、一般財団法人日本伝統織物研究所の取り組みや錦織に使われる道具、技術の紹介も展示している。
龍村光峯氏の作品は22点。瀬戸内海の波を百色の糸で表現した「瀬戸のうちうみ」は東宮御所に納められた。掛袱紗(かけふくさ)「雅の松」は皇太子妃雅子さまご成婚のときに贈られた。「夾竹桃花文緞子(きょうちくとうかもんどんす)」は外務省から直接、注文を受けてローマ法王に贈られた。それぞれと同じ作品を展示しており、国内はもちろん世界での評価の高さを物語るエピソードに事欠かない。
龍村周氏の作品は8点。陶芸や篆刻(てんこく)も手掛け、自身で制作した陶芸の作品の肌を模した作品、食器洗い用のスポンジで絵の具を塗ってくっつけてできたような文様を再現した作品もある。織でグラデーションやかすれのような伝統から解き放たれたような表現も見せる。
ことし2、3月と燕市産業史料館で開かれた「スプーン展2017」に龍村周氏が出展した錦織を立体化したスプーンも展示する。
日本伝統織物研究所は、龍村光峯氏が立ち上げ、代表理事に就く。伝統的先染紋織物の伝統技術の保存と継承に取り組み、古代裂(こだいぎれ)をできる限り道具から古代の技法にならって復原しており、奈良、平安、室町の各時代の再現した錦織を展示。ホログラム箔(はく)を織り込んだ見る角度によって次々と色を変える作品も展示している。
初日22日は開場式を行ったあと龍村周氏が作品解説を行い、約20人が参加した。絹糸は断面が三角形で、プリズムのような構造になっているためにダイヤモンドのように複雑な輝きを放つ。龍村周氏は表面に光を当ててみせ、「光の織物」と呼ばれるゆえんをわかりやすく説明した。
燕市を訪れるのは、スプーン展を前に昨年、下見に訪れて以来。錦織はいろんな職人、道具、技術から生まれており、「燕市のものづくりをしている皆さんも同じような工程を踏んでいると思う」と龍村周氏。「こちらの職人さんと京都の職人さんが何か共鳴できるようなものがあればなと考えている」と話した。
展示のほかに史料館ロビーでは、株式会社龍村光峯の錦織のネクタイ、バッグ、古帛紗、名刺入れ、プチガマストラップ、コイン入れなどの販売も行っている。
関連イベントとして、23日午後2時から龍村周氏を講師に講演会「龍村光峯 歴史を織る」が開かれ、参加費は無料。5月3日から7日までと28日の毎日午前10時から正午まで龍村周氏を講師に機織り体験会が開かれ、1日4人まで参加費1,500円で10色の横糸から1色を選んで機織りでコースターを作ることができる。詳しくは燕市産業史料館(電話:0256-63-7666)へ。