新潟市西蒲区福井集落に生まれ育った写真家で郷土史研究家の斉藤文夫さん(84)の写真集『昭和の記憶 新潟 海の村 山の村』が「昭和の日」の29日、刊行される。「海の村」は旧西蒲原郡巻町浦浜集落(今の新潟市西蒲区浦浜)、「山の村」は大谷ダムの湖底に沈んだ旧南蒲原郡下田村大江・大谷集落(三条市)を撮りためた写真を収録する。
A5判で164ページ、販売価格2,000円。斉藤さんの写真、監修で、写真家の石川直樹さんと旧下田村出身のイラストレーターで作家の遠藤ケイさんの寄稿も。イラストを新潟県民俗学会会長の三条市・五十嵐稔さんが寄稿した。
企画、編集、製作はブリコール、発売元はNPO法人いわむろや。1,000部を作成し、県内外の書店や店舗、ギャラリー、インターネットなどで販売する。
斉藤さんが主に郷土に取材した写真は数十万枚に及ぶという。その膨大なフィルムから昭和30年代から平成10年ころまでに撮影した未公開を含む200枚近くを収録する。
浦浜では、厳しい冬にともに船をこぎ、助け合う漁師たちの姿。漁に出る夫を浜でいつまでも見送る女性、総出で海に船を押し出す家族。夏には海水浴客と漁船と漁網が共にならぶ風景。浜の船の上で飛び跳ねていたかと思えば、父の前ではおとなしく船を引くのを手伝う男の子の姿をとらえる。
大江・大谷集落では、猟師の姿や、屋根まで積もる豪雪の中に生きる人々の姿を記録。たった一人の生徒のために、先生が泊まり込みでやってくる冬季分校。囲炉裏端のテレビでオイルショックのニュースを見て「自前のエネルギーで暮らす自分には関係ない」と笑う老人。春には山菜が芽吹き、村中にゼンマイをゴザに広げて干す桃源郷のような光景。斉藤さんはダム建設が決まって村の最後の一軒が取り壊されるまで撮り続けた。
斉藤さんは以前からこの写真集の刊行を願っており、多くの仲間や趣旨に賛同する人たちの協力を得て「昭和の日」にぶつけて「昭和の記憶」を自費出版できることになった。資金面で不足があることから、4月30日まで寄付を募っている。
寄付といっても写真集の販売価格にプラス1,000円の1口3,000円の寄付兼予約販売で、寄付者には写真集1冊と斉藤さんの写真を使ったポストカード一式をプレゼントする。4月26日までに194人から合わせて90万3,000円の寄付が寄せられている。
5月2日から10日まで新潟市中央区上大川前通10番町、新潟絵屋で斉藤文夫写真展『海の村・山の村』が開かれ、関連イベントとして3日午後2時から斉藤さんとブリコールの桾沢(ぐみざわ)厚子さんをゲストに大倉宏さんの司会でギャラリートークが行われる。
写真集などに関する問い合わせは「〒950−0872 新潟市東区牡丹山1-29-6 ブリコール」、桾沢さん(電話:080-4051-1211、電子メール:info@bricole.jp)へ。4月30日まで受け付けている寄付の支援方法は次の通り。
<ご支援方法1>郵便振替(お近くの郵便局から)
●郵便振替口座:00560-9-86784
名義:ブリコール(斉藤文夫氏の郷土写真をのこす会 代表)
募集額 一口3,000円 として (ご無理のない範囲でお願いいたします)
※専用の「払込取扱票」をご利用いただければ、お振込み手数料はこちらで負担いたします。(「払込取扱票」をご希望の方は、下記連絡先までご連絡ください。)
<ご支援方法2>直接のカンパ(随時承っております)
●受け取り先1 斉藤文夫氏、旧庄屋佐藤家(西蒲区福井)にて
●受け取り先2 ブリコール(桾沢和典・桾沢厚子)
(直接のご支援は、ワンコインからでもお気持ち分いただければ結構です。)
<ご支援方法3>インターネットを通じてのご寄付
●stores.jp(ブリコールストア)
https://bricole.stores.jp/items/58bd7e9102ac6489c9002a4d
募集額 一口3,000円 としての「ご寄付兼予約販売」となります。
◯寄付金は全て、『昭和の記憶 新潟 海の村 山の村』写真集製作に係わる印刷費、編集費、広報費、原稿依頼費等に使用させていただきます。(もしご支援が必要額を超えた場合は、斉藤文夫氏の撮りためた写真及び、斉藤氏の収集した郷土の写真の整理、現像、アーカイブ作成のための資金として活用させていただきます。)
◯「お名前・ご住所・電話番号」を下記連絡先までお知らせください。ご寄付いただける方には、一口あたり、完成した写真集1冊と斉藤文夫氏の写真を使ったポストカード一式をご進呈致します。(複数口ご寄付いただける方は、写真集とポストカードを口数分をお渡しします)