東京・日本橋の老舗洋食屋「たいめいけん」の二代目オーナーシェフ、茂出木雅章さんが7日、三条市のステージえんがわで看板メニューのオムライスの調理や試食を行った。
茂出木雅章さんは「日本の凧の会」の会長を長く努めており、三条市の名物行事、三条大凧合戦にもたびたび訪れている。昨年10月に三条市で日本の凧の会主催の凧の全国大会が開かれて来条したときに茂出木雅章さんに三条市で本業での講師を依頼し、快く引き受けてもらった。
この日は、午前はステージえんがわの前で開設された二・七の市で食材を買ったあとタンポポオムライス作りの見学と試食。午後からオムライスの講話とオムライス作りの見学と一口サイズの試食を行い、それぞれ定員を超す申し込みがあり14人、38人が参加した。
調理用白衣を着た茂出木雅章さんは、午前は参加者と一緒に露店を回ってキャベツ、タマネギ、ニンジンなどを入手したあと、プロジェクターを使って日本の西洋料理や「たいめいけん」の歴史について話したあと、さっそくオムライスを調理した。
「たいめいけん」は1931年(昭和6)創業。近年は長男の三代目、茂出木浩司さんがテレビなどメディアににひっぱりだこだ。
オムライスは看板メニューであり、なかでもチキンライスに載せた半熟卵に包丁を入れるととろりと流れ出すタンポポオムライスは、1985年公開の映画『タンポポ』で伊丹十三監督の発案で、「たいめいけん」が生み出したことで有名だ。
茂出木雅章さんは、映画でオムライスを調理するシーンは「たいめいけん」の厨房で撮影され、タンポポオムライスの名前は伊丹監督の許しを得て命名したことなどを話した。
「たいめいけん」で長く働いていたシェフと地元三条市のシェフにも手伝ってもらいながら調理。ポイントを話しながら手早く次々と調理し、参加者から1/2人前ずつ味わってもらった。
参加者は、フライパンを上下させてタマゴを巻くテクニックをじっくりと観察した。茂出木雅章さんは笑いも交えながら話し、できあがったタンポポオムライスから白い湯気の上がる半熟卵が流れ出すと思わず歓声と拍手でわいた。
参加者のひとりも挑戦したが、とても同じようにきれいに巻くことはできなかった。材料や調理方法にそれほど特別なことはなかったが、ふんわりとした卵の仕上がりに感激。なによりも東京へ行かなければ味わえない「たいめいけん」のオムライスを地元で味わえることに大満足だった。
三条市の西川正恭さん(54)、まゆみさん(51)夫婦の長男、太成さん(20)がこの春から「たいめいけん」で働いており、茂出木雅章さんにあいさつがてらに参加した。ふたりは「市の広報紙を見てびっくりして」と言い、茂出木雅章さんには「気さくな人」。「日本橋の店に並んで食べるしかない本場の味にふられられるとは」と喜び、長男には「いつか三条で店を開くことができれば」と願っていた。