燕三条地域の名だたる工場を開放する「燕三条 工場の祭典」。4年目のことしは、10月5日(木)から8日(土)までの4日間開かれる。その第1回運営会議が9日開かれ、ことしから地元で運営できる形づくりに取り組む考えなどを示した。
参加企業などから約80人が出席。過去4回の開催状況の振り返りを中心に実行委員会からことしの方向性や新しい企画などについて話した。
昨年実績では、昨年は「工場」のほかに、新たに農業の「耕場」、販売の「購場」が加わり、前年の68を大きく上回る96「KOUBA(こうば)」が参加。来場者は前年の1万9312人の1.8倍を超える3万5143人、売り上げは三条ものづくり学校で中川政七商店が全国の工芸品を販売する大日本市博覧会・第四回「新潟博覧会」を同時開催したこともあり、それも含めて前年の783万円の約3.5倍の2745万8567円にものぼった。
年々、大きく実績を伸ばし続けているが、昨年は数字を見る限り圧倒的な大成功だった。ことしは103KOUBAが参加予定だ。
ことしの実行委員長は、過去4回で副実行委員長に就いた株式会社MGNET(燕市東太田)代表取締役の武田修美さん。武田さんは、見学が特定の工場に集中してパンクに状態になっている、ニッチでディープなファンにどうアプローチしていくかといった課題を示した。
ことしの取り組みとして、工場の祭典を通して燕三条全体を説明できる人材を育てていく必要があり、燕三条駅へ客を出迎えるような仮称「コンシェルジュ事業」ができればと提案した。
さらに新しい取り組みとして、ことしは長岡造形大学と連携して学生とともに各工場の装飾を行う。初めてなので対象の工場は募集せず、受け入れ体制や余裕のある工場で行う。
工場の祭典は、第1回からアドバイザーを務める株式会社メソッド代表取締役の山田遊さんをはじめ、東京のデザイン、PR、マーケティングなどを手掛ける人たちがかかわっている。山田さんは「工場の祭典を形づくるうえで、僕たち外部チームの負担が半端なかった」とし、当初は全体監修という立場は3年をめどと考えていた。
「なるべく自分たちでやっていけるようなイベントになる」、「僕らがいなくても成り立つような運営にしていくことが今後の大きな課題」とし、ことしは「皆さんでイベントをつくっていってくださいよっていう、きっかけの年になればいい」。
山田さんが意識していたのは全国各地で行われている芸術祭で、それと比べて優位な点は「全部がこの地域に資源であるというのがすごい強み」で、「外部の力を借りずにできる状況がイベント運営を含めて地域で百パーセントできたらそれはすごいこと」と期待した。
武田さんは代表取締役に就くシンクボード株式会社を4月に設立。ことし、来年と2年間かけて東京チームが果たしてきた役割の多くをシンクボードに移していく。
このほか、ものづくり学校では昨年の大日本博覧会に変わって参加企業での企画したい考えで、武田さんは「産地が集うようなイベントができたら」。
2020年の東京五輪・パラリンピックで選手村とスタジアムを結ぶ新虎通りにある地域活性を図る新商業施設「旅する新虎マーケット」に工場の祭典として出店する。
さらに足元の県内の人に工場の祭典が周知できていないという反省から、事前告知活動として8月2日から7日まで新潟伊勢丹アートホール400平方メートルすべてを工場の祭典が使って物販、ワークショップ、トークショーなどを行い、ことしも開催日の10月5日から8日までの4日間に限らず、さまざまな企画で盛り上げる。