伝統的工芸品の指定を受ける「越後三条打刃物」を製造する「越後三条鍛冶集団」の2人が伝統工芸士の試験に合格し、新たな伝統工芸士が誕生。これで「越後三条打刃物」の伝統工芸士は12人になった。
平成28年度認定を受けて伝統工芸士となったのは、大工用ノミ製造の今井忠太郎さん(73)=今井のみ製作所・三条市東三条2=、切出・小刀製造の増田健さん(69)=増田切出工場・三条市西裏館2=。いずれも越後三条鍛冶集団の師範だ。
「越後三条打刃物」は、2009年に越後三条鍛冶集団が指定組合となり、伝統的な鍛冶技術で作られる包丁や切出小刀など10品目を主要製品として経済産業省のハードルの高い審査にのぞみ、国の伝統的工芸品の指定を受けた。
越後三条打刃物の伝統工芸士は、2012年の4人を最初に、翌13年に4人、14年に2人が認定を受けており、今井さんと増田さんの2人が加わり12人となった。
10日午後7時から三条ロイヤルホテルで越後三条鍛冶集団の平成29年度通常総会とあわせて伝統工芸士誕生祝賀会が開かれ、国定勇人三条市長から伝統工芸士の2人に認定証を伝達し、国定市長が祝辞、産地委員審査員の香月節子さんが審査員講評を述べ、今井さんと増田さんが謝辞を述べた。
今井さんは、仕事を始めた当時のことを「せがれは跡を継ぐもんだと、高校卒業後に何の抵抗もなく、のみ鍛冶だった親父の工場に入った」と言い、のみの組合の青年部では「岩崎重義さんから教えを請い、幸運に恵まれた環境だった」、「いろんな方の教えをいただいてここに立たせていただいています。感謝しています」。
増田さんは、「17歳で高校を中退して親の手伝いをして52年がたちました。何の気なしに親の後を継いで52年たちました」と振り返った。伝統的工芸品の切出は、おじが亡くなった7年前から自分で作るようになり、「まだまだ未熟なんですけど、これからも皆さんのご指導とごべんたつを」と礼を述べた。