14、15の2日間行われている三条市・八幡宮の春季大祭にあわせて、ことしも地元にゆかりの有志8人でつくる敬神会は14日、新しい鈴緒をこしらえ、ぴかぴかに磨き直した鈴とともに八幡宮に奉納した。
敬神会は年に一度、鈴を磨き、鈴緒を編むためだけの組織。5月1日に拝殿の鈴を下ろして会員が順番に担当して磨き、新しい鈴緒を編んで奉納する。始まりは良くわからないが、鈴には「昭和47年5月吉日」とある。
メンバーは37歳から77歳まで。溶接業白井元明さん(76)=三条市八幡町=の仕事場に集まり、白井さんは体調を崩して体がきかないので、娘婿にも手伝いを頼んだ。
鈴緒は10本ほどの荒縄を束ねたものを3本作って1本ずつ赤、白、黒のそれぞれの色の布を巻き付け、さらにその3本をねじる。三つ編みのように編むのではなく、3本を同じ方向にしぼるようにねじることで、摩擦力だけで1本の太い綱になっていく。
「よーいさっさっ、よいやさっさっ!」のかけ声で拍子を取りながら、3本の束を3人が1束ずつ持って力いっぱい引いては左隣りの人に束を渡して作っていく。最後に鈴緒のいちばん下を結び、毎年寄付してもらっている組みひもの房をつけ、麻ひもを垂らして完成した。
完成すると、鈴を鳴らしながら八幡宮へ運び、鈴と鈴緒を神前に供えてみんなで参拝。はしごに登って拝殿の屋根の下に取り付けて完了だ。
初夏を思わせる汗ばむ陽気に仕事場の小さな扇風機も回しながらの作業。年配の会員が作業を遠慮すると、若手は「先輩が先にしてくんねーと、手、出さんねねっかね」と先輩を立てた。若手が作業にまごついていると、先輩は「でーでー、貸してみれ」。笑いが絶えない和やかな会員同士のやり取りが続いていた。
八幡宮へ向かうと近年にない人出にびっくり。鈴緒を取り付ける時間帯は例年、参拝者はぱらぱらだが、ことしは百人ほどが行列をつくって参拝を待っていた。そこでさい銭箱を横へ移動させて参拝者を誘導しながら、はしごをかけて取り付け。境内のにぎわいに会員の顔もほころんでいた。