5月27日から7月2日まで弥彦の丘美術館で中央の日本画団体、一般社団法人創画会の理事で女子美術大学名誉教授の宮城真(みやぎ・まこと)さん=東京都杉並区=の日本画展「自然と共に」が開かれている。
宮城さんは1948年京都生まれで、東京芸大の美術学部日本画科を卒業、同大学院美術研究科を修了して芸大非常勤講師に。74年に創画展に出品。95年に創画会会員推挙、06年から理事に就く。文化財の模写を手がけたこともある。今回は大半が創画展、春季創画展出品作の150号を最大に大作を一堂に展示している。
何度か弥彦の丘美術館で展覧会を開いている同じく創画会理事で上越市出身の柴田長俊さんから、弥彦の丘美術館での展覧会を勧められていたが、5月29日から7月9日まで弥彦村総合コミュニティーセンターで創画会70周年記念展の巡回展が開かれることになり、そのタイミングにあわせて実現した。
初日27日午前10時から会場で行われたオープニングには、関係者ら20人ほどが出席。弥彦の丘美術館の五十嵐敬吾館長はあいさつで、「(柴田さんから)この美術館は日本一と言われた。そういう所なら宮城さんにぴったりと言われた」と弥彦の丘美術館が高く評価されたことを喜んだ。
宮城さんの娘が新潟市西蒲区の寺に嫁ぎ、宮城さんは新潟県展の審査員を務めたことがあることも紹介。柴田さんも宮城さんの母が旧六日町の出身であることなど、宮城さんと新潟のゆかりが深いことを話した。
宮城さんは「こうやって並べてみると背筋が凍るようで恥ずかしい思いだが、こういういいところでさせていただいたことによって、これから先、自分の仕事をしていくのに前向きにもっと挑戦していかなければいけないというような勇気をいただいた」と感謝し、「これからもまじめに自分に正直な絵を描いていかなければとあらためて思った」とあくまで謙虚だった。
オープニングのあと宮城さんが作品解説を行った。「旅立ち」(2005年・50号変形)に描かれた女性は自身の娘。「幻影」(2010年・50号F)はウイーンのカーレンベルクの丘から雪の日に夜のドナウ川などを描き、大切な亡くなった人が夜の景色のなかに浮かんできて、その気持ちを大切に描いた。
「碧落」(2008年・150号F)は孫が生まれた時に、世の中は平和な時ばかりではないが、毅然として自分らしく生きてほしいと描いた。「ブロッケン」(2010年・100号F)は富士山五合目で見たブロッケン現象を描いたが、観念を打破するような空気を感じた。
「夜の声」(1997年・50号S)については、「洞察と表現がものすごく大事」、「今から見れば恥ずかしい、いろいろ挑戦した絵」などと宮城さんは、とつとつと誠実に制作の状況や構想、意図を話した。
6月17日(土)に宮城さん、24日(土)に柴田さんによる解説がいずれも午後2時から行われる。会期中は無休で午前9時から午後4時半まで開館、入場は午後4時まで。入館料は高校生以上300円、小・中学生150円。問い合わせは弥彦の丘美術館(電話:0256-94-4875)。